(※編集部注 この記事は特定の心的外傷を刺激する可能性があります。ご注意下さい)

◆普通の人生だったはずがある日、突然…

 ある日突然、逮捕され刑務所に収監。家族を失い、おまけに莫大な借金を背負う……普通に生きていれば、まず起こり得ない出来事を体験した人がいる。

 2013年に親族とのトラブルで逮捕され、2年以上に渡る勾留と服役を経験。出所した現在は自営業で生計を立てているPrisoner氏(@prisoner1773)だ。

 現在40代前半の彼は収監中に得た性犯罪者たちの生態をリソースに、ツイッターと公式LINEで性犯罪被害者からの相談に乗るという一風変わった活動を行なっている。

「反社でもなく、普通に生きてきて警察にお世話になったこともなかったので、出所後にどう社会復帰して良いかわからなかったんですね。それで、情報交換用にアカウントを開設して、刑務所内で出会った性犯罪者についてポツポツと呟いていたらそのうち性犯罪被害者からの相談を受けるようになり、今に至ります」

 複雑な家庭環境で育ち、早くに父を亡くしたPrisoner氏は高校卒業とともに上京し、30代の頃に不動産業で独立。プライベートでは家庭を築き、仕事も順調だった。そんな平凡ながらも幸せな日々に暗雲が訪れたのは、2009年のことだった。

「海外に住んでいる親戚が、マネーロンダリングに協力してほしいと言ってきたんです。うちの一族は祖父母が財をなしたお陰で遺産がたくさんあるのですが、相続税がかからないようにしてほしいという話でした」

◆早朝、警察に踏み込まれ寝間着のまま連行

 それで貸付という名目で多額のお金を預かったが、3年後の2012年に突如、返還を求められた。

「しかし簡単に言うと、複雑な形で回していたのですぐに返すのは無理だったんですよ。すると『横領された』といって日本の警察に被害届を出されてしまったのです。任意の事情聴取でもしっかり経緯を説明したし、こちらの弁護士も『逮捕まではないだろう』と言っていたので、安心していたんですが……」

 それから2か月後の早朝6時半。

 ドアを激しく叩く音で目が覚め、玄関を開けると令状を持って立ち塞がる警察官らの姿があった。Prisoner氏は唖然とする妻子の目の前で手錠をはめられ、着の身着のままで連行されてしまった。

「80年代のテレビで流行っていたドッキリじゃないかと思いました。不動産業でも、えげつない事案は日常茶飯事だったので慣れていたつもりでしたが、まさか自分に降り掛かってくるとは思いませんでしたね」

 そのまま留置所に入れられたPrisoner氏は、勾留期限の20日目に起訴され、続いて半年間を東京拘置所で過ごすことになった。

「しかも起訴されないと思ったら、最終日の17時55分に裁判官面調書で訴因変更、求令起訴というパワープレーでした」

 一審ではマネーロンダリングを依頼された決定的な証拠を提示できず、敗訴。その間、拘置所には捺印済みの離婚届と養育費に関する念書が届き、印鑑を持っていないため拇印を押して返送した。それ以降、子供たちとは会えていないが「まあ、世の中そんなもんです。割り切って前向きに生きるしかありません」と笑う。

◆拘留中に背負った借金は1億円

 また、Prisoner氏が経営していた会社は休眠状態だったが、従業員に持ち逃げされたり、取引先からの入金拒否に加え月150万円ほどの固定費で1億円以上の借金を背負うことになった。投資家から集めて運用していた数千万円もそこに含まれていた。逮捕から6か月後には保釈されたため、クレーム処理などはその間に行った。

 結局、借金は時効を使って大半を飛ばし、残りは出所後に自営業で得たお金で補填した。

「私を信じて出資してくれた人には申し訳ないので、お金に余裕ができたら必ず返すつもりです」

 ちなみに留置所では控訴を行いながら、万が一の刑務所収監に備えて基礎学力を上げることに専念していたという。一体どういうことなのか。

「実刑になったら送られる予定の地方刑務所には入所試験があり、成績が良ければ刑務所内でやりたい仕事に就けるんです。中三までの国語と数学の学力を熱心に上げていましたね。あと、ペン字が上手くないと刑務官にバカにされるので、その練習もしました」

 そして8か月後に高裁で再び敗訴し、2年6か月の実刑判決を受けた。

◆刑務所で目の当たりにした囚人のヒエラルキー

 その後、地方刑務所に収監され1年6か月をそこで過ごすこととなったPrisoner氏。

 噂に聞いていた刑務所内でのヒエラルキーを目の当たりにしたという。

「3000人ぐらい収容できる大型刑務所だったのですが、雰囲気は地方の底辺高校さながらでした。

 偏差値20ぐらいのヤンキーのような人たちがスクールカーストで言うところの1軍。刑務所でもつねにオラついていました。2軍が私のような元一般人や、高校時代も2軍だったような人。

 その中で性犯罪者は最下層。3軍、4軍すっ飛ばして5軍程度です。彼らは刑務所の中で少しでも調子づくと本当にぶっ飛ばされるので、おとなしくしている。生活ぶりも一見、真面目なので刑務官にも気に入られていましたね」

 だが2軍どうしでつるんでも得るものがないと感じたPrisoner氏は自ら「5軍落ち」し、積極的に性犯罪者90人と交流を深めた。

 うち、レイプ犯は30人ほど。性犯罪者が多く集まってくる場所だったため、効率よく情報収集できたという。そこで確信したのは、罪を反省している人が極めて少なかったことだった。以下、あくまでPrisoner氏の視点からみた様子を伝える。

◆「出所したら、盗撮くらいはする」

「性犯罪者に限ったことではないですが、誰ひとり反省などしていないんじゃないかと思ってしまいました。中でも元性犯罪者は揃って、『性暴行はもうしないけど盗撮ぐらいはする』と言っていましたし。おぞましいことを笑顔で言い放つ彼らは、男の私から見ても身の毛がよだつほど気味が悪かったです」

 そして一日6時間ほど臨床心理士の指導のもとに行うTC(治療者共同体)というグループワークで、自身の犯罪について語り合うのが日課だった。

 作文の課題や、グループワークの司会などを任されることもあるため、ホワイトカラー出身者が多い傾向にあったという。そこには元性犯罪者も多く参加していた。

「TCは臨床心理士の面談で選ばれる必要があり、3人に1人しか参加できない。とはいえアメリカで行われている集団精神療法を日本流にアレンジして取り入れてるだけで、実際の効果はまだわかってないらしいんですよ。

 中には被害者役が女性を真似た声色で『なんでそんなことしたの?』などと問いかけたりするものもあって(笑)。そこではみんな猫をかぶっているので『反省してます』などと神妙なことを言っていました」

 囚人たちが「裏の顔」を覗かせるのはその後である。

 刑務所の夕食は4時半からと早く、平日は5時から8時まで、土日祝日は6時間ほど自由時間を与えられていた。Prisoner氏はその時間を使い、性犯罪者たちの実態に肉薄した。

「『P(ピンク)―1グランプリ』などといって性犯罪者たちが犯罪自慢をし、私が司会進行役のようになって回すようなこともしていましたね」

 そのように囚人同士の立場で触れ合うことで、性犯罪者の「本音」を巧みに引き出していったPrisoner氏。彼らが他の犯罪者と異なる点は、早期の頃から犯罪の片鱗を見せていたことだという。

◆罪を反省していない囚人は、「目から念が出ている」

「いたって普通の家庭出身の人もいて、父親が上場企業に勤めていたりもする。

 共通しているのは、ほとんどが小中学生の時点で何かをやらかしていて、下手したら幼稚園ですでに覚醒していること。中でも圧倒的に多かったのは、放課後に女子の机を漁って笛を舐めたことで目覚めてしまった奴。あとは、体操着や水着の匂いを嗅ぐなど。

 天才は教えられなくても自ら才能を伸ばしていくと言いますが、自分が接触した範囲では、性的知識がなくとも8歳から10歳ぐらいまでにある程度開花していましたね。それがエスカレートして最後に性犯罪に行き着くんです」

 そしてPrisoner氏が気になっていたのが、彼らの「独特の目つき」だとか。

「覚醒剤やってる人は、注射器を目で追ってたりする。窃盗犯なら金目のものをほんの一瞬だけ見る。性犯罪者も同じで、女性を必要以上に凝視する。目から念みたいのが出ているんです。

 グループワークの臨床心理士がほぼ女性だったんですが、彼女らに対しても彼らはおかしな目つきで見ていた。おまけに既婚の某元犯罪者は、妻とのSEXでは射精できない体質だから自分はたくさんの女性とやる必要があるなどと言い出し、女性心理士が思わず『気持ち悪い!』と口走っていました」

 また、性犯罪者たちの興奮を誘発する大きな要因の一つが「肌」だという。

 露出度が高い服を着るほうも警戒心が薄いのではという意見については、「海外の女性もかなり露出した格好をしていますが、変な目で見ないようにするのが一応の常識だと言います。日本の男は露骨にジロジロ見過ぎなんですよ」と語る。

 次回、Prisoner氏が獄中で見た性犯罪者たちの姿にさらに深く迫る。

【Prisoner氏】
2013年、親族トラブルが原因で逮捕・起訴され、敗訴。実刑判決を受け地方刑務所に収監。2017年に出所した際の全財産はわずか45000円、その上借金1億円を抱える。現在、自営業をしながらツイッター、公式LINEで性犯罪被害者の相談を行なっている。ツイッター:Prisoner1773