―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―

◆ウォーキングアプリの現在地

 コロナ禍も少し落ち着き、運動不足解消のためにウォーキングを再び始めようと思っている人も多いのではないでしょうか。現在、歩くことをメインにしたスマホアプリは、位置情報ゲーム系、仮想通貨を稼ぐ「Move to Earn」系、各種ポイントが入手できる「ポイ活」系の3つに大まかに分けられます。それぞれの代表的なアプリと今後の展望をチェックしていきましょう。

◆『ポケモンGO』は頭打ち?位置情報ゲーム系 

 GPSデータを使った位置情報ゲームでは、2016年7月から始まった『ポケモンGO』がいまだ全世界で圧倒的な人気を誇っています。コロナ禍でもその勢いは衰えず、世界中どこでもレイドバトルに参加できるリモートレイドパスの効果もあり、2021年には過去最高の1.2億ドルを売り上げたという調査データも出ています。しかしながら、ここからさらに収益を拡大するのはやや難しいかもしれません。

 というのもサービス開始当初は初代『ポケットモンスター赤・緑』のポケモンのみでしたが、徐々に各世代のポケモンが解禁され、現在は本編直近2作の『サン・ムーン』と『ソード・シールド』のポケモンもある程度実装されている状況。過去のポケモン資産を使い切りつつあります。

 また、『ポケモンGO』のさらなる起爆剤になると期待されていた対人戦も、「散歩+コレクション」というアプリ開始当初のユーザー層とは相性が悪く、しかも対人戦自体にバグが多いこともあり、ユーザーの不満が溜まっています。6月12日に幕張メッセで行われた日本代表決定戦でも、バグによるトラブルが続出。実力派プレイヤーによる見応えのある試合も多かっただけに残念な結果となりました。加えてリモートレイドパスの値上げもあって、ユーザー離れが危惧されています。

 2021年後半から今年にかけて、国内では『ポケモンGO』の売上が停滞するなか、ライバルといえる『ドラゴンクエストウォーク』がセールスランキングでも『ポケモンGO』を上回ることも増えてきました。しかし、『ドラゴンクエストウォーク』も「武器のインフレが激しい」という声が聞かれ始め、ガチャで武器や防具を集めるスマホゲーム特有のインフレスパイラルに入ってしまったように思われます。

 その他、2021年11月にサービス開始した『ピクミン ブルーム』(運営は『ポケモンGO』と同じくナイアンティック)は、集客・売上ともに伸び悩み、いわゆる「過疎っている」状態。ウォーキングのお供としての位置情報ゲームは、少々飽きられ気味と言えそうです。

◆歩いて稼ぐ「Move to Earn」系

 ウォーキングアプリとしては、移動して仮想通貨を稼ぐ「Move to Earn」系が「儲かる」という触れ込みもあって注目を集めています。その牽引役が、2021年12月にオーストラリアのスタートアップ企業「Find Satoshi Lab」がオープンβ版をリリースした『STEPN』。今年4月に大手仮想通貨取引所バイナンスが提供する独自ブロックチェーン「バイナンススマートチェーン(BSC)」に対応したこともあり一気に盛り上がりを見せました。

 アプリ開始時にNFTスニーカーを購入し、リアル世界で歩くか走ることでゲーム内仮想通貨「GST」が入手できます。スニーカーの種類によってGSTが入手できる移動時速や消耗性などに違いがあり、スニーカー2足を掛け合わせて新たに1足を生み出し、売ることもできます。

◆ユーザーの不安を払拭できるか

 話題の仮想通貨を稼げるということで非常に魅力的に映りますが、最初に高額なスニーカーを購入しなくてはならない点でハードルが高いのがネック(9月からはスニーカーのレンタルシステムの実装が予告されています)。また、運営が中国本土でのサービス停止を発表したことで、スニーカーの価値が一気に暴落するという騒動もありました。

 日本語に対応していない点や、現在は招待制になっている点、また、アプリの信頼性・安全性に不安を感じる人も多く、ライトユーザーに広がるまでにはまだ時間がかかりそうです。ただ、「Move to Earn」系はメタバースとも結びつきやすく、大きな可能性を秘めています。

◆アプリが濫立するポイ活系

 歩いて稼ぐという意味では、「Move to Earn」系と同じですが、仮想通貨ではなく身近な各種ポイントを稼げるというのが「ポイ活系」ウォーキングアプリの特徴。2016年に配信が始まり話題となった、歩いて集めたスタンプで自販機のドリンクが入手できる『Coke ON』もその一種に入るでしょう。

 ポイ活系で現在勢いがあるのは、デジタル地図「MapFan」で知られるジオテクノロジーズが運営する『トリマ』。2020年10月に正式版が開始されて以来、900万DLを突破し、ポイ活ウォーキングの代表格になりました。テレビ番組で取り上げられたこと、車や電車の移動でも移動距離ゲージ「タンク」が貯まること、独自ポイントの「マイル」がアマゾンギフト券、Ponta、WAON、nanacoなど多様なポイントに変換できることで支持を集めています。

◆「健康管理×稼ぐ×遊び」の掛け算

 ただし、ポイ活系のアプリは還元効率も重視され、直近では6月7日からマイルを稼ぐメインの手段である移動距離の上限が1日タンク200本から50本へと1/4に変更されたことがユーザーの怒りを買っています。

 この分野は、地域名産品が当たる『aruku&(あるくと)』、WAONポイントをためられる『RenoBody』、dポイントが獲得できる『dヘルスケア』など想定ユーザー層が近いアプリも多く、参入障壁も低め。ユーザーにどれだけお得感を感じてもらえるかがヒットのカギを握りそうです。

 今後は、本格的な位置情報ゲームにポイ活の要素が導入されるケースも考えられます。「健康管理×稼ぐ×遊び」、この3つの掛け算のバランスが重要になってくるのではないでしょうか。

<文/卯月 鮎>

【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン〜なつかしゲーム子ども実験室〜』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も

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