―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

◆中古車は買値より高く売ることは難しい

 クルマ好きの腕時計投資家、斉藤由貴生です。私は、2004年に免許を取ってから、これまでに数十台のクルマを買ったり売ったりしてきたのですが、その中で「買った値段よりも高く売れた」という事例は多くありません。

 腕時計の場合、相場が動きやすい傾向があるため「買って⇒使って⇒高く売る」という難易度はそれほど高くないのですが、クルマはそんなにうまくいかないのです。

 中古車相場は基本的に「安くなる一方」ということが多いため、買った時よりも売るときに高くなったというケースは稀。もちろん、旧車のように本格的に古くなり希少価値が上がると、「高くなる」という事例が多くなるのですが、そうなるまでには数十年という時間が必要です。

 ですから腕時計投資家として、モノ投資に慣れている私でも「買った値段よりも高く売れた」というクルマはあまり多くありません。

◆認定中古車で購入したクラウンが…

 しかし今回、私はこれまでの自分史上、最もすごい成功体験を生み出すことに成功しました。

 これまで私が「買った値段よりも高く売れた」というクルマの場合、ヤフオクなどを利用して、個人売買で「高く売る」ということを実現していたのですが、今回は、なんと一般的な買取店に買い取ってもらって、高く売ることを実現できたのです。

 さらにそのクルマは、業者オークションなど、通常よりも安価な相場で買ったわけではなく、ディーラーの認定中古車で購入したという代物。一般的には、認定中古車は、中古車の価格として、最も高価な立ち位置となっているわけですから、それを買って買取店に持っていき「高く売れた」というのは、我ながら神業だと思っています。

 そして、さらにすごいのは、そのクルマを4年間所有し、4万km以上も乗ったという点。つまり、普段使いしていたわけですが、そうであるにも関わらず、今回「買った値段よりも高く売る」ということを実現してしまったのです。

 では、今回私が「買った値段よりも高く売った」のは、どの車種かというと、その答えは、トヨタクラウンエステートであります。

◆クラウンとして最後のワゴンタイプ

 クラウンエステートというクルマは、1999年に登場したクラウンのワゴンモデルなのですが、2003年にセダンのクラウンが「ゼロクラウン」へとモデルチェンジされた後にも販売され、結局2007年まで現行モデルとして存在していました。これがクラウンとしては最後のワゴンタイプであるため、いまだ根強いファンがいて、現在でもそこそこ見かけるクルマであります。

 そして、クラウンエステート最大のポイントは、強力なターボエンジンを搭載した「アスリートV」というグレードが存在する点です。このアスリートVには、1JZ-GTEというエンジンが搭載されているのですが、このエンジンを積む車種は、いずれも中古車相場が「高い」という傾向があります。

 なお、このアスリートVに搭載されている1JZ-GTEは、第2世代でありますが、これが搭載されているのは以下となります。

・マークII(100系) ツアラーV
・クレスタ ルラーンG
・チェイサー ツアラーV
・ソアラ 2.5 GT-T
・クラウン アスリートV
・クラウンエステート アスリートV
・マークII(110系) iR-V
・ヴェロッサ VR25
・マークII ブリッド iR-V

◆程度が良い車は400万円近い価格帯

 上記車種は、1996年頃〜2006年頃まで製造されていた車種。現在、こういった年式の中古車相場はあまり高いとはいえません。しかしがら、1JZ-GTEを搭載する車種は、いずれも中古車価格は高水準となっており、近頃、程度が良いモノは400万円近い価格帯となっている場合もあります。

 そして、私が今回高く売ったクラウンエステートは、アスリートVであり、まさにこの1JZ-GTE を搭載している車両。こういった高価となるアイテムが備わっているからこそ、高く売るということが成功できたわけです。

 とはいっても、私が売却した車両の走行距離は19万km近い状態。クルマは10万kmを超えると、日本では「過走行」とされ、価値が一気に低くなるわけですが、今回売却したクラウンエステートは、19万km近い状態という超過走行状態であります。

 そうであるにも関わらず高く売れたのは、近頃、1JZ-GTE搭載車両といったように、人気要素がある車両は、走行距離が高くても価値がつくという傾向があるからだと思います。

 例えば、メルセデスベンツでも、W124の500Eの場合、走行距離が20万km以上といった状態でもかなりの価値がつけられており、実際に需要がある(誰かが買う)状態となっています。

◆支払い総額は50万円

 私は、クラウンエステートのアスリートVを4年前に、トヨタディーラーの認定中古車で買ったのですが、その際の総支払額は50万円でした。

 クラウンエステートのアスリートVが総額50万円というのは、4年前の相場としても破格であるのですが、なぜそのような価格で購入できたかというと、買ったときの走行距離が14万kmだったからです。

 通常、14万kmの中古車は、安かったとしても故障リスクが伴うといえますが、トヨタ認定中古車だったため、1年保証がついていました。さらに有償でその保証を3年に伸ばしたのですが、それでも総額50万円だったのです。

 そして、買ってから3年間に、クラウンエステートにはいくつかのトラブルが発生したのですが、その全て保証で直すことができたため、修理代は0円でした。タイミングベルトやラジエターなど、通常であれば高価となる作業も行ったのですが、これらも当然保証でカバーすることが出来ました。

◆気になる売却価格は…

 そのため、私はこの4年間一切修理代を払わず、クラウンエステートを4万kmも普段遣いしていたわけです。また、車検もユーザー車検とし、整備は0円で済ませたというケチっぷり。ですから、乗っている間にかかった費用は、オイル交換代やタイヤ代といった消耗品のみであります。

 では、そのクラウンエステートを今回いくらで売却出来たかというと、その答えは55万円!

 3年保証付きで50万円で買ったクラウンを4年4万キロ乗って、55万円で売るということを成功させてしまったのです。

 通常、クルマは車両本体代がかかるのが当たり前ですが、このクラウンエステートの場合、ガソリン代とオイル等の消耗品代しかかからず、本体代はむしろ“5万円もらえてしまった”という体験となったことになります。

◆購入当初から「高く売れる可能性が高い」

 こんな夢のような話をどうやって実現させるのかというと、やはりそのスタートラインは、「買う時にある」といえます。

 私は4年前、クラウンエステートのアスリートVを保証付き認定中古車、総額50万円で買うということを実現させたわけですが、そのときすでに「将来的に買った値段と同額か、それよりも高く売れる」という可能性が高いと思っていました。

 そして今回、違うクルマを買うために、クラウンエステートを売却したわけですが、見事に55万円で売れたわけで、4年前の思惑通りになったといえます。

 さらにすごいのは、個人売買など、特定のテクニックが必要な方法で売ったわけではなく、普通の買取店に買い取ってもらった金額が55万円という点です。

 つまり私は、普通にディーラーの中古車を買って、買取店に買い取ってもらうという、一般的な行動をとって、4年4万kmも乗って買った値段プラス5万円で売却する、ということを実現させてしまったのです。

◆中古車の醍醐味

 以上、自分でもびっくりなクラウンエステートの事例をお伝えしたわけですが、こういった楽しみができるのが中古車の醍醐味だと思います。

 中古車は、まるで生物のようであるわけで、買うときの目利き力や知識が試される舞台でもあります。

 中古車と真に向き合い、うまく乗りこなすというのが、最も楽しいクルマとの付き合い方だと私は考えているのですが、たまにこういった成功体験ができると、とても嬉しい気持ちになります。<文/斉藤由貴生>

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―