―[貧困東大生・布施川天馬]―

 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆努力は必ず報われるわけではない

 突然ですが、皆さん、努力は必ず報われると思いますか?

 僕はそうは思いません。仮にすべての努力が報われるのなら、もう少しポジティブ思考の人が世間にあふれかえっていてもおかしくはないでしょう。「努力が必ずしも実らない」ことをみんな知っているからこそ、努力の末に栄冠をつかむ話がウケるわけですから。

 とはいえ、「頑張っても必ず報われるわけではない。だから頑張らなくていい!」という話ではありません。

◆頑張っても結果が出ない理由は?

 結果を出す必要に駆られて努力を始めるのですから、大事なのは結果を出せたか否か。それならば、むしろ「頑張りが報われるように(=結果を出せるように)なりたい!」と思う方はきっと多いはずです。

 結果は出したい。だから頑張る。でも、いくら頑張っても結果が出ない……そんな状況に陥る理由のひとつは、もしかすると自分の中にあるのかもしれません。

 落ちこぼれ受験生たちの東大受験の様子を描いた名作マンガ『ドラゴン桜』の桜木建二先生がその理由を語っているシーンがあります。

◆「感情」と「理性」がごちゃ混ぜになっている

 皆さんがこれまでしてきた努力の動機、モチベーションの源はなんでしたか?

「仕事で必要だから……」「周囲から認められたいから……」などなど、理由はきっとさまざまでしょう。どのような理由にせよ、その努力の始まりの頃から「どうせ失敗するんだろう」と思いながら挑戦を始める人はきっと少ないと思います。

 それでは、なぜそれらの多くが失敗に終わってしまうのか? それは、自分の判断基準の中で「感情」と「理性」がごちゃ混ぜになってしまっているからだと僕は考えています。

◆「自分が得する選択肢」を選べない状態

 たとえば、『ドラゴン桜』では「東大に合格して周囲を見返したい」と考える矢島と、「教え子を東大に入れて自らの名を上げたい」と考える桜木との衝突が描かれていました。

「東大に合格したい」「東大に合格させたい」……一見すると、お互いの利益が完全に一致しているはずの両者。素直に頼り、頼られるような関係を築けば、互いにwin-winになれるはずなのに、どうにもギクシャクしてしまう。その理由は「矢島の感情にある」と桜木は分析します。
 
 矢島は自らのプライドの高さゆえに、本来は選ぶべきである「自分が得する選択肢」を選べなくなっているというのです。彼は無意識に自らのプライドを優先してしまっており、いけすかない桜木に頭を下げてまで人生の逆転を狙おうという発想に至らない。

 その代わりに、未成熟な我流のやり方を貫こうとする。だから、なかなか結果が出ない。もっとプライドは傷ついていく……まさしく、負の無限ループです。

◆感情が邪魔して、損得を見失う

 翻ってみてみると、これは現実の僕らにも当てはまります。たとえば、自分の嫌いな先輩や後輩が自分の知りたいことに詳しいとき。明らかに自分で調べ始めるよりも、その先輩や後輩に質問をするところから始めるほうが効率よく調査が進むはずです。

 しかし、自分でも聞いたほうが得になるのがわかっていても、「いけ好かない先輩に頭を下げるのはムカつく」「年下の後輩なんかに質問するのは恥ずかしい」というような複雑な感情を覚え、結果的に聞けずじまいだった、なんて経験はありませんか?

 これらも桜木に言わせれば、「感情が邪魔で損得が見えていない」という状態なのかもしれません。

 感情は人間として当たり前のものです。だからこそ、自分が感情に操られていると気がついたときには、感情面を一度抜きにして「自分が本当に得する選択はいったい何か」を考えてみるといいのかもしれませんね。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)

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