定年延長や廃止を検討する企業が出始め、定年後再雇用が当たり前になりつつある昨今。けれど週刊SPA!は「断固NO」。60歳で颯爽と会社を去り、充実した老後生活に突入するのだ。そのためには当然準備が必要。明るい老後を叶えるべく60歳で会社を去る方法を徹底調査。老後を元気に過ごすためには体を鍛えることが必要だ。今回は、フィジカルトレーナーの坂詰真二氏に歩行力を鍛える方法について聞いてきた。

◆老後の不調に抗うためには筋肉量が大事

 豊かな老後の実現は、健康な体あってこそ。『すごいジム・トレ』を著書に持つフィジカルトレーナーの坂詰真二氏は、「老後の不調は、筋肉量の減少に伴う基礎代謝量低下によるもの」と解説する。

「3大疾患の要因の多くは、常態的なエネルギーの余剰にあります。食事や生活スタイルが変わらなくても、加齢とともに筋肉量が減り、基礎代謝量が低下するにつれてエネルギーが消費できない体になるのが原因です。筋肉量を取り戻すことで、老後の不調に抗うことができます」

◆衰えやすいのは上半身よりも下半身

 60歳からのセカンドライフに向け、50代のうちに基礎代謝を上げ、どれだけ体の機能を保てるかが勝負だ。

「定年を迎え、通勤がなくなる前に、座るより立つ、立つより歩くを心がけて運動量を維持してください。筋トレというと、見栄えを意識して上半身を中心に鍛えがちですが、実は上半身の筋肉は落ちづらく、生活を続けるのにそれほど必要はありません。

 元気に老後を過ごすには、衰えやすい下半身の筋肉量を増やす努力が重要です。次に大切なのは腰部の筋肉。これらの筋肉を鍛えることは、豊かな老後に欠かせません」(前出・坂詰真二氏)

◆膝が外に開いてしまう人は要注意

 ただし、生活に必要な筋力は、実はそれほど多くはない。

「大切なのは普段から正しい姿勢を保つこと。間違った筋トレは骨や関節に負担を与えます。

 電車で立っているときや座っているときに膝が外に開いてしまう人や、背中が丸まってしまう人は要注意です」(前出・坂詰真二氏)

◆オススメの気軽なトレーニングを坂詰氏が紹介

 死ぬまで自力で歩くための気軽なトレーニングもある。

「柔軟性は筋力よりも落ちやすいので、ストレッチ(後述・①②)を必ず先に行ってください。そして歩き方を正すトレーニング(後述・⑤)を取り入れ、普段から体重を足の外側に逃がさない訓練を。そうすると、骨盤が立って背すじが伸びやすくなります。

 これらのトレーニング(後述・①〜⑤)を週3回行えば、1か月以内に日常動作を楽に感じるはずです」(前出・坂詰真二氏)

 歩く力は老後のQOLに直結すると心得よう。

◆① お尻ともも裏の柔軟性を高める

 両足を揃えて前に出し、踵を床につける。太ももに置いた両手を前に滑らせ、お尻を突き出し、背すじを伸ばしたまま前傾する。もも裏に張りを感じる位置で10秒キープ×3セット

◆② おなかの柔軟性を高める

 両手で背もたれの下部を持つ。両足を手前に引き、骨盤を前傾する。胸を高く引き上げながら上体を反らし、目線を上に向け、おなかに張りを感じる位置で10秒キープ×3セット

◆③ スクワットで下半身の筋力を維持

 両足を揃えて手前に引く。背すじを伸ばし、足に体重が乗るまで前傾。息を吐きながら2秒で立ち上がり、息を吸いながら3秒かけてお尻が座面に触れるまでしゃがむ。10回×3セット

◆④ ロウアー・バックで腰の筋力を維持

 両足を前に出し踵をつける。背すじを伸ばし、目の下に膝がくるまで前傾。息を吸いながら3秒かけておへそを軸に背中を丸め、息を吐きながら2秒で背すじを伸ばす。10回×3セット

◆⑤ 死ぬまで自力で歩くための歩行改善

 骨盤を立て、両足を揃えてつま先を正面に。一方の足を半歩前に出し、踵を床につける。上半身を垂直に保ち、後ろ足の親指で床を押し、体重を前足に移す。これを左右各10回×3セット

【フィジカルトレーナー 坂詰真二氏】
’66年生まれ。スポーツ&サイエンス代表。アスリートのコンディショニング指導を担当する。『すごいジム・トレ』(青春出版社)など著書多数

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 モデル/丹羽俊輔 野田順久 山村ひびき

―[[今から備える]60歳で[もう働かない]技術]―