飲食店で働く従業員たちは、客の入店対応、料理のオーダーから提供まで、さまざまな業務を同時にこなさなければならない。そんななかで、客の何気ない行動が、じつは「歓迎されていない」場合もあるという。今回は、客が入店する「時間」にまつわるエピソードをアルバイト店員たちが明かす。

◆ラストオーダー時間ギリギリに来店する客

 田口菜々さん(仮名・30代)は、ラストオーダー時間ギリギリで来店されると、困ってしまうこともあるという。
 
「ラストオーダーが23時30分、閉店時間が24時の飲食店で働いていました。お客様が少なくなるとだいたい22時ころからは1人で接客対応を行います。なるべく早く閉店できるように、少しずつ閉店作業をするのが当たり前でした。ただし、来客があると一旦その作業をストップして案内します」

 そのあとオーダーを待つことになるのだが、すぐに注文してくれる客だけではないという。

◆注文が「鍋」だと残業を覚悟する

「長いお客様だと15分ほど悩まれて注文する人もいます。その注文が鍋系だったときは、“残業確定だな”と覚悟します」

 田口さんが働いていた店では、客自身で鍋に火をつけるスタイルのため、食べ終わるまで、とにかく時間を要する。

「なるべく早くお客様へ運びますが、全体に火が通るまで約10分間。休憩しながら食事をしたり、鍋を食べたあとはスマホを確認したり。お客様が帰られるまでは当然、閉店作業は進みません」

 そのため、閉店作業をすすめているなかで入店のチャイムが鳴ると、“何時に帰れるのか?”という思いが頭をよぎる。客が帰ってから最終的な片付けをするため、従業員の退勤は24時45分くらいになることもあったという。

「もちろん遅い時間にしか来られないお客様もいるので、『来るな』と言っているわけではありません」

 しかし、遅い時間に食べるのに時間のかかる料理を注文するのは本音ではやめてほしいと、田口さんは思っていたとか。

◆10時開店なのに9時30分に来店する客

 一方、10時オープンの店でアルバイトをしていた山崎透さん(仮名・20代)は、開店前に来店する客に嫌な思い出があるという。

 山崎さんは9時15分に出勤し身だしなみを整え、開店の準備をおこなっていた。

「お客様に素早く提供できるよう、いつも通りコップとお箸とおしぼりの準備をしていました。そんなとき、9時30分を過ぎたころにお客様が来店されたんです」

 店の入り口は開いていたのだが、入口のど真ん中には「準備中」の看板が置いてあるはずだった。それにもかかわらず、客は勝手に入店し、席に座ったという。

「『おい! 水はまだか、はよ持ってこいや』と怒鳴り声が聞こえてきました。私は、『当店の開店時間は10時からですので、あと30分お待ちください』とご案内したのですが……」

◆「この店どうなっとるんや!」と怒りながら出ていった

 客は「店、開いとるやんけ」と声を荒げ、山崎さんはどうしていいのかわからずにいた。そこに、騒ぎを聞きつけた店長が駆けつける。

「『店長か。ここの社員はどうなっとんじゃ。店開いとんのに何も出さんとおかしいんちゃうか』と言うお客様に対して、店長は真摯に対応していました」

 最終的に、客は「もう、ええわ!」と一言残して帰っていった。その日は、無事に開店できたが「このような客は迷惑です」と、山崎さんは最悪なエピソードを振り返った。

<取材・分/chimi86>

【chimi86】
ライター歴5年目。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。Instagram:@chimi86.insta

―[飲食店員の「心の叫び」]―