―[貧困東大生・布施川天馬]―

 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆「暗記が得意な人」と「暗記が苦手な人」の違い

 皆さん、記憶力はいいほうでしょうか? 僕は比較的自信があるほうではありますが、それでも暗記の天才と呼ばれるような人たちにはかないません。

 円の直径と円周の長さの比である円周率は無限に続きますが、世の中にはこれを10万桁も20万桁も覚えている人がいるそうです。特に意味のない数字の羅列を万単位で覚えるなんて、考えただけでめまいがしてしまいます。

 逆に、自分は記憶力が悪いという方も多くいらっしゃると思います。場合によっては「人の顔を覚えるのは得意だけど、数字やパスワードを覚えるのは苦手」というように、モノによって得意と苦手がハッキリしている場合もあるのではないでしょうか。

◆「記憶力がない」は本当か?

「暗記が苦手」という人は一定数存在しています。むしろ苦手な人のほうが多いかもしれません。

 ですが、僕は暗記が苦手だという人の中の多くは、実はそこまで苦手でもないのではないかと考えています。もちろん得手不得手はありますが、それでも、自身が感じているほどには「苦手」ではないのではないかと思うのです。

 記憶力がないと思い込んでいる人たちは、自分に厳しすぎるのかもしれません。落ちこぼれたちが人生の逆転をかけて東大受験をするマンガ『ドラゴン桜』でも「いかに人間は忘れる動物か」が説明されています。

◆なぜ浪人生の東大合格率は高くないのか?

 東大受験をかけて揺れる龍山高校の職員室では、「受験において現役生がいかにして伸びるか」が説明されていました。2年も3年も長く勉強しているはずの浪人生がなぜ落ちて、現役生が合格できるのか。

 実際に現実の東大の受験においても現役の合格率が7割程度はあるといわれています。浪人生は、たったの3割程度しか合格できないというのです。

 東大受験の立役者である桜木健司先生は、このからくりを「人間は忘れる動物である」ということにあると説明しています。浪人生がいくら努力して知識をため込んだとしても、貯蓄した経験や知識、思考法などは時間とともに段々薄れていきます。

 これを計算に入れないでいると、「やったはずなのに思い出せない!」とパニックになってしまい、「どうせ自分は才能がないんだ」と腐ってしまうのだというのです。

◆「暗記は質よりも量」を体得することの重要性

 実際、僕も最初のうちはいくらやっても暗記が完璧にならないことに焦り、今から振り返ると無意味な時間を多く過ごしていました。ですが、ある時になって「どうせ忘れるんだから、一回に集中して勉強したって無駄だろう」と悟ったのです。

 これによって、「暗記は質よりも量」だということに気づくことができました。

 それ以降の勉強法を「一回の暗記にかける時間は短く、しかし一日のうちに3回以上復習する」というように、何度も何度も重ね掛けするような方法で暗記するように変えたのです。

 すると、それまではまったく意味が入ってこなかった英単語や歴史の用語が面白いようにスルスルと頭に入っていきました。

◆「暗記が苦手」と考える人の共通点

 僕が考えるに、きっと「暗記が苦手」という人はこの罠にはまっているのではないでしょうか。つまり、暗記に対するハードルが高すぎるのです。

 一回覚えたことを忘れてしまうなんて当たり前のことなのに、ただそれだけのことを「一回覚えたはずなのに忘れるなんて!」とショックを受けすぎているのではないでしょうか。

 そんな自称「記憶力に自信がない人」へのアドバイスは一つだけです。

◆「要するにどういうことか」のみを知る

 細々したことは全部無視してしまって、「要するにどういうことか」のみを知るようにしましょう。

 あくまで一つひとつの事項を覚えるのではなく、「なぜそうなるのか」「最終的にどうなっていればいいのか」などを知っておくように意識に切り替えるだけで、かなりラクしながら多くのことを覚えられます。

 大人になると「暗記」自体は減るかもしれませんが、記憶力があると何かと便利になる場面も増えるかと思います。こちらの記事が皆さんの日常生活の助けになれば幸いです。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)

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