いまや節約や貯蓄は国民の関心事だ。少しでも賢く暮らすべく、お得な情報や投資情報に目を光らせる人も多いだろう。しかし、よかれと思った家計改善が、実は逆効果になることも。値上げの冬を乗り越えるために、隠された「家計の真実」をお伝えしよう!

◆今冬はもはや+1万円も割高に!「新電力のほうがお得」の嘘

この冬、最も我々を悩ませるのが電気代の値上げだ。「新電力のほうが安い」と喧伝され、変更した家庭も多いはず。しかし、「新電力はかえって割高になる危険性がある」と話すのは「新電力比較サイト」を運営する石井元晴氏だ。

「電気代が高くなっている大きな要因は、電気料金の4つの算出項目(※)のうちの燃料費調整額の上昇です。これは燃料価格を毎月の電気料金に転嫁する仕組みですが、東京電力など地域電力では上限があるので、ある程度の値上げで済みます。

しかし、新電力には上限を設ける法的縛りがないので、多くの会社が上限を設けていません。つまり、燃料費の高騰がさらに進めば、冬の電気代が青天井で値上がりする危険性がある」

※①基本料金+②電気量料金+③燃料費調整額(多くの新電力は上限がない)+④再生可能エネルギー発電促進賦課金=1か月の電気代

◆市場連動型プランはさらに割高になる

さらに危険なケースが、「市場連動型プラン」を採用している新電力会社だ。

「例えば楽天でんきやLooop電気など、燃料費調整額の一部か全部を日本卸電力取引所の価格に連動させている新電力があります。これだと価格変動の影響をよりダイレクトに受け、さらに値上がりリスクが高い。

今の取引価格は1kW/hあたり30円前後ですが、冬場は40円まで上がってもおかしくない。概算すると、500kW/h(40A)を使用した場合、1か月の電気代が地域電力より1万円ほど高くなる可能性もあるので、契約内容を確認してください」

◆どの電力会社を選ぶべき?

では、現時点でどの電力会社を選ぶといいのか?

「新電力でオススメできるのは燃料費調整額の上限があるコスモでんきです。ただ、コスモでんきもいつ上限をなくすかわからないので、今は東京電力など地域電力の従量電灯プランに戻すのが無難でしょう。

北陸電力が値上げを発表したように地域電力も値上げの可能性はありますが、経済産業省の認可が必要なので『来月から即値上げ』とはならない。この冬は地域電力で凌ぐのが正解です」

◆電気ストーブやハロゲンヒーターは効率悪し

政府も電気代補助政策を発表したが、1か月に400kW/hを使用する世帯で2800円程度なので、値上がり負担のほうが大きくなる。節電意識も重要だ。

「例えば僕の場合、一人で自宅仕事をするときはミニホットカーペットで足元を温めています。消費電力が少なくて、座布団サイズだと1時間使っても電気代が0.3〜0.4円で済む。逆に電気ストーブやハロゲンヒーターはエアコンに比べても温める効率が悪く、電気代が増えるばかりなのでやめたほうがいいですよ」

電気会社選びと節電生活で、厳しい冬を乗り越えたい。

◆4人家族の電気代値上がりのリアル

新電力ユーザーの電気代はどれほど値上がりしているのか。ここでは記者宅のサンプル(※3LDK一戸建てで夫婦と子供2人、40Aを使用)を用意した。

使っているのは楽天でんき。基本料金がタダで楽天ポイント獲得にも繋がるサービスだが、昨年8月の電気代が8639円だったのに対し、今年8月は14249円に。’21年8月に比べて、’22年8月の電気代が1kW/hあたり11円も上がっていた。

また、楽天でんきでは11月1日から「市場価格調整単価」に移行。同社によれば、’22年8月の電気代よりも約4000円超の値上がりになる見込みだという(使用料300kW/hの場合)。記者が東京電力に帰参したのは言うまでもない。

【「新電力比較サイト」運営・石井元晴氏】
’14年から電力自由化の制度をわかりやすく解説し、445社5157の料金プランを掲載。各メディアでも「新電力の専門家」として登場

取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/神林ゆう
※週刊SPA!11月15日発売号の特集「やってはいけない[家計の嘘]」より

―[やってはいけない[家計の嘘]]―