長年、勤めた会社からもらえる退職金は、企業によってまちまち。悠々自適な老後を過ごせるのか、はたまた雀の涙ほどか? 終身雇用が崩れるなか、リアルな退職金の相場に迫る! 今回は定年退職をした公立中学の教師を取材、勤続38年での退職金はいくらもらえたのか?

◆中学校長、金額は大企業並み。定年後も変わらず現場を駆け回る日々

「退職金は2400万円。確かにかなりの金額ですが、一番の励みは子供たちの笑顔でしたね」

 真っすぐな眼差しで語るのは、元公立中学校長の中野雅博さん(仮名・61歳)。新卒から教師一筋の勤続38年で、2022年3月に定年退職をした。

「退職金は、まだ現金で持っています。銀行で投資信託の勧誘も受けましたが、どれもいまひとつ信用できなくて……。今のところ旅行や大きな買い物をする予定もありません。

 子供は独立し、今は妻との2人暮らしのため大きな出費もなく、退職金に手をつけなくても生活できています」

◆4月から月収は3分の1以下に

 休暇も取らずに、中野さんは4月から再任制度を利用し、教育現場を支援する仕事に従事している。

「校長の重責から解放され、今は児童生徒と向き合う時間が増えました。イジメや不登校など、生徒指導で課題がある小中学校を回り、若手教員の助言にあたっています。

 勤務はフルタイムで給与は月20万円ほど、校長時代の3分の1以下になりましたが、学校では児童生徒の成長をじかに見られるので、やりがいは変わらず大きいですね」

 中野さんはさらに続ける。

「教員不足のしわ寄せが子供に来ることだけは、なんとしても避けないと……」

◆夜9時まで働いても残業代は…

 長年の経験をもとに後進の育成に励む中野さんだが、現場の課題は山積だとか。

「部活指導や授業の準備など、教員は過重労働に陥りがち。私も現役時代は夜9時まで学校にいることもザラでした。しかし残業代は月額給与の4%分の手当以外に支給されない。時代に合った働き方に変えていかなければなりません」

 退職金は大企業並みも、定年まで働ける待遇改善は待ったなしだ。

◆●中野雅博さん(仮名・61歳)のケース

勤続38年
退職時年収1000万円強

退職金2400万円

取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/サダ

―[[有名企業の退職金]一斉捜査]―