◆ディープインパクトのラストクロップが重賞制覇!
1月8日に行われたシンザン記念はライトクオンタム(牝・母イルミナント)が勝利。デビュー2連勝で牝馬クラシック路線の有力候補へと名乗りを上げました。
同馬の父は“あの”ディープインパクト。現役時代は無敗の三冠を含む14戦12勝、騎乗する武豊騎手が「飛ぶ走り」と評した圧倒的な瞬発力でファンを魅了しました。現役引退後も、種牡馬として昨年まで11年連続でJRAのリーディングを獲得しているスーパースターです。
2019年7月に死亡し、現3歳世代がラストクロップ。種付けシーズンの途中に体調を崩したため、日本で血統登録された産駒は6頭しかいません。その中から重賞ウイナーが誕生したのです。
私はデビュー前のライトクオンタムを取材しているのですが、牧場の方も「素質は感じるけれど、まだ成長待ち」といったコメントで、正直、それほど手応えを感じませんでした。それが、いざデビューすると2連勝で重賞制覇。種牡馬ディープインパクトの底力をまざまざと見せつけています。
やはり「ディープの血は偉大!」ということで、今回は、ライトクオンタム以外の最終世代のディープインパクト産駒を紹介していきたいと思います。
◆牡馬クラシックの期待がかかるオープンファイア
まずは既にデビューを果たしている3頭から。最初に紹介するのはオープンファイア(牡・母ゴーマギーゴー)です。同馬は9月11日の中京芝2000m戦でデビューすると、単勝1.3倍の圧倒的な支持に応えて勝利。4コーナーで前から離され、早々と手が動く苦しい展開を強いられながら、鬼脚を披露して差し切りました。続くアイビーSは3着止まりでしたが、メンバー最速の上がり33.3秒の脚で追い込んでおり、全く悲観する内容ではありません。
デビュー前の取材では、育成を担当したNF空港・佐々木厩舎長が「母系がアメリカ血統なので筋肉質な体ですが、走りの柔らかさは『さすがディープ!』という印象」と期待を寄せていました。
次走は2月5日のきさらぎ賞を予定。その走りに注目してください。
◆負けても強しのメズマライジングと及第点のエレガントギフト
メズマライジング(牝・母フォルト)は12月4日の中京2000m戦でデビューしクビ差の2着。良馬場発表ながら雨が残った馬場、直線入口で接触の不利があったことを思えば、負けて強しの内容でした。2000mでデビューしていることからも、距離の融通性は高そうで、桜花賞のみならず、オークスの2400mでも十分に走れるタイプでしょう。
新馬戦の後は外厩で一息入れられていますが、復帰戦に向けて順調にトレーニングを積まれている様子。復帰戦から、まず好勝負でしょう。
エレガントギフト(牝・母ジュエルメーカー)は1月9日の中京芝1600m戦で待望のデビューを果たしました。レースは出遅れて道中は10番手からの競馬になりましたが、大外から追い上げて7着。とはいえ、勝ち馬からは0.8秒しか離れておらず、初戦としては及第点の内容でした。
◆未デビューのディープインパクト産駒も魅力たっぷり
続いては、これからデビューを控える2頭を紹介します。
スイープアワーズ(牡・母スイープトウショウ)は、昨年末にゲート試験を合格し、現在はリフレッシュ放牧中。お母さんのスイープトウショウは2004年秋華賞、2005年宝塚記念、2005年エリザベス女王杯とG1を3勝した名牝です。その爆発的な末脚もさることながら、オールドファンには、気が乗らないと調教中でもテコでも動かなくなるお転婆娘としての印象も強いのではないでしょうか。
まだまだ成長途上のようですが、血統が示す通り、その潜在能力の高さは間違いなし。じっくり体力をつけて、デビューを迎えた暁には、名前通り「賞を総なめにする」活躍を見せてくれるかもしれません。
◆オーナーがディープインパクト産駒との相性◎
チャンスドゥアスク(牝・母ワッツダチャンセズ)も既にゲート試験に合格済み。こちらはリフレッシュ放牧から帰ってきており、デビューの日も遠くなさそうです。馬名からも想像がつくと思いますが、同馬のオーナーは、昨年の菊花賞をアスクビクターモアで制した廣崎利洋HD。アスクビクターモアはディープインパクト産駒で、ディープインパクト産駒との相性が良いオーナーというのは、この馬のセールスポイントでしょう。
◆現3歳世代はベタ買いでもプラス
ディープインパクト産駒といえば、スピードに秀でていて早い時期から能力を発揮できるのが特徴。実際、2018年以降、新馬戦では複勝率52.7%、2歳限定戦で複勝率54.9%、3歳5月までの3歳限定戦でも複勝率38.7%と高い好走率を誇っています。
ちなみにここまで最終世代のディープインパクト産駒をベタ買いしたら、3-1-1-1で単勝回収率120%、複勝回収率106%と単複プラス。世代限定戦が行われている間は、惜別の思いも込めて「3歳のディープインパクト産駒は全部買う!」という作戦も一興です。
文/松山崇
【松山崇】
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。