50代を超えると健康の悩みは尽きない。世は健康食ブームだが、良かれと実践していた食事法や健康食品でカラダに害が及んでいたとしたら……。最新研究で導き出された食の新常識を総ざらいするとともに、健康寿命を伸ばす最強の食事術を徹底リサーチ。120歳まで長生きできるカラダを手に入れろ!
◆“糖質摂取量の絶対的ルール”とは?
カラダを動かすエネルギーとして最重要栄養素でありながら、付き合い方が非常に難しい糖質。医学博士の満尾正氏によると、120歳まで生きるためには“糖質摂取量の絶対的ルール”があるという。
「世界の臨床栄養学界での最新コンセンサスとして『摂取カロリーの半分は糖質で補う』のが最適解。それ以上でも以下でも健康リスクにつながるというのが結論です。
しかし、米を主食とする日本人の多くが総摂取カロリーの約7割を糖質でまかなっているのが実情。運動量が多くないデスクワークの方なら糖質は一日200gが適量です」
◆体内で糖をつくる「糖新生」で脂肪燃焼
「しかし、糖質を抜きすぎると代謝が落ちて太りやすくなるだけでなく、慢性的な低血糖による頭痛や倦怠感、動脈硬化リスクが急激に上がることも証明されています」
急激な血糖値上昇を抑えるために、炭水化物の前に野菜を食べる“ベジファースト”を実践している人も少なくないだろう。
しかし、最新の研究では肉を一番最初に食べる“ミートファースト”のほうが健康効果が高いことがわかった。
◆“ミートファースト”の健康効果
ボディワーカーの森拓郎氏が“ミートファースト”の健康効果を教えてくれた。
「肉を先に食べると糖の吸収がゆるやかになるだけでなく、脂質によって消化管ホルモンのインクレチンが分泌され、胃のぜんどう運動が弱まります。インクレチンは脳の満腹中枢にも働きかけて食欲を感じにくくするため、食べすぎを抑制できるのです。
また、空腹時に血糖値が徐々に下がりはじめ、肝臓に蓄えていた糖が減ってくると、体内でタンパク質などを材料に糖質を作り出そうとする“糖新生”という代謝が起こります。
このときに体脂肪の分解作用も上がるためダイエット効果も高まりますが、筋肉の分解も促進してしまうため、優先してタンパク質を摂取することが重要となるのです」
◆空腹時に欲望のまま糖質をかきこむのはNG
空腹時は糖新生によって脂肪を燃やせるチャンスタイム。
欲望のまま糖質をかきこまず、糖新生の材料となる肉をまず食べて糖新生を促進させるのが脂肪燃焼のカギなのだ。
【医学博士 満尾 正氏】
日本初のアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」院長。『世界最新の医療データが示す最強の食事』など食がテーマの著書多数
【ボディワーカー 森拓郎氏】
大手フィットネスクラブを経て、’09年にスタジオrinatoを設立。ダイエットやボディメイクを指導。著書は50冊で累計100万部超
取材・文/週刊SPA!編集部
―[120歳まで生きる食の新常識]―