化学メーカーで研究開発を行う傍ら、経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。
『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。さて、今回は株式会社ロック・フィールドの業績について紹介したいと思います。

ロック・フィールドと聞いてどんな会社か分かる方は少ないことでしょう。登山用品などを扱っていそうな社名ですが、実は総菜の販売事業を手がける企業で、デパ地下でよく見かける「RF1」や「神戸コロッケ」などを運営しています。特にRF1は高価格帯ながら品質の高いデリカテッセンとして認知され、同社の成長を支えてきました。今回は、ロック・フィールドの沿革や近年の業績、今後の方針について見ていきたいと思います。

◆1970年代にレストランから総菜事業へ転換

同社は創業者が1965年に神戸でオープンした欧風レストランがルーツです。神戸ビーフを使った料理が評判でしたが、創業者は欧米視察で見かけたデリカテッセンに魅了されたようで、1972年に大丸神戸店でデリカテッセン1号店をオープンしました。

デリカテッセンとは欧米などでよく見られる持ち帰り用の惣菜店のことで、ハムやソーセージ、サラダやサンドイッチなどの食品を扱っています。同社は70年代中に早くも大阪や関東に進出し、工場を増設しながら惣菜店を増やしていきました。

1989年にコロッケ専門店「神戸コロッケ」をオープンした後、1992年には現在のメインブランドである「RF1」1号店を東武百貨店池袋店に開店しました。この時より、百貨店ごとに分かれていたブランド名を「RF1」に統一したようです。

◆「RF1」ブランドは全国に140店舗展開

現在の赤・青・緑を基調とするデザインとなったのは1995年からです。2000年には東証一部に上場し、2005年には和風総菜の「いとはん」1号店をオープンしました。

その後もじわじわと成長し、2017/4期には売上高500億円を突破しました。2023/4期末時点で「RF1」140店舗、「グリーン・グルメ」70店舗、「神戸コロッケ」36店舗、「いとはん」32店舗などを展開しています。

主力のRF1は売上高の6割を占め、高価格帯ながらも高い品質の惣菜店として認識されています。ちなみに2番目に店舗の多いグリーン・グルメは、RF1や神戸コロッケなどの姉妹ブランド商品を扱っている惣菜店です。

◆企業としての強み、人気の理由は?

ロック・フィールドの強みは、原材料の仕入れから生産、物流、商品の販売まで一貫して行う「生販一体」。仕入、生産を店舗ごとではなく一括で行うことにより品質の安定化を実現し、物流面ではチルド温度帯(1〜5℃)を維持することにより、総菜の味を損ねることなく店舗へ輸送しています。また、店舗ごとに調理する必要がないため、「生販一体」体制は価格安定化にも貢献しています。

とはいえ生販一体だけでなく、純粋な商品力も同社の成長を支えた主要因の一つです。高価格帯とはいっても それに見合った品質の高いサラダや肉・魚類の総菜を提供しており、食卓に一品あるだけでも嬉しい存在です。

例えば「フルーツトマトと甘とまとのジェノバ風サラダ」や「北海道産帆立と海老のハーブグリルとローストポテト」など、レストランでしか見かけないような総菜があります。デパ地下に寄ったときについ買ってしまいたくなる総菜が多く、口コミを見ても高い評価を得ていることが分かります。

そういった意味で1992年にブランド名を統一したのは正解であり、統一していなければ高い認知度を確立できず、現在ほど店舗数を拡大できていなかったかもしれません。

◆意外にも内食需要が追い風とならず…

さて、近年の業績ですが、2019/4期から2023/4期の業績は次のように推移しています。

【株式会社ロック・フィールド(2019/4期〜2023/4期)】
売上高(全社):510億円→477億円→438億円→471億円→500億円
売上高(RF1):339億円→303億円→276億円→293億円→309億円
営業利益(全社):24.2億円→4.8億円→11.1億円→21.6億円→15.0億円

20/4期は商業施設の客数減や百貨店の閉店に加え、終盤はコロナ禍における商業施設の一斉休業の影響を受けたようです。翌21/4期もコロナ禍の影響を受け、さらに業績は悪化しました。

同社が展開するブランド店は主要駅周辺の百貨店や駅ビルに集中しており、外出自粛の影響を強く受けた形です。内食需要の増加は追い風とはならなかったようです。

また、外食チェーン各社が導入してきたテイクアウト・デリバリー需要に客を奪われた可能性も考えられます。22/4期はなんとか持ち直したようで、コスト削減にも成功し営業利益は増大しました。

◆新規施策の効果は果たしてどう転ぶか

今後の方針について見ていきましょう。2024年4月期は消費行動の正常化もあり売上高520億円と過去最高を見込んでいます。そして具体的な施策としては、主に(1)冷凍食品の強化と(2)居住地近郊への出店を進めるようです。

(1)に関しては冷食専用の新ブランド「RFFF(ルフフフ)」を2022年に発売しており、自社直営店やECだけでなく、スーパーや他社ECでの外販事業も強化するとしています。

(2)は、従来のデパ地下や都市部のデパ地下だけでなく、郊外の駅ビルや商業施設にも「RF1」などの店舗を展開するようです。ここ15年の増収幅は100億円程度に収まっており、都市部への出店は限界を迎えているのでしょう。

とはいえ、冷食事業に関しては「RFFF」の知名度自体が低いため、上手くいくかは未知数です。大阪王将の冷食事業が好調なように、「RF1」のブランド名をそのまま使うべきではないかと筆者は考えています。

また、(2)も同社が手がけるブランド店はやや高価格帯にあるため、需要が見込める地域は限られるでしょう。直近の業績目標は達成するかもしれませんが、今後(1)及び(2)の両施策が主な収益源の一つになる可能性は低そうです。

<TEXT/山口伸>



【山口伸】
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_