大事件ばかりがニュースではない。身近で巻起こったニュースを厳選、今回はサラリーマンに関する記事に注目し反響の大きかったトップ10を発表する。第7位の記事はこちら!(集計期間は2023年1月〜2023年12月まで。初公開2023年4月7日 記事は取材時の状況) *  *  *

 多くの企業が新入社員を迎え入れる春。新卒はもちろん、転職してきた人たちで職場の空気は一変する。だが、業務内容や職場環境など、人により理由はさまざまだが、せっかく就職したにもかかわらず、すぐに退職をしてしまう人もいる。

 中には、新入社員研修期間中に将来を有望視されていたにもかかわらず、いざ実務が始まってみれば、すぐに退職してしまうケースもある。

◆同期の中でも飛びぬけて“仕事ができる人”だったが…

 新卒で大手機器メーカーの営業職として入社した佐々木朋絵さん(仮名・20代)。同期の中でも将来を期待されていたAについて話してくれた。

「Aは、明るい性格で、見た目もかわいかったので目立っていました。そして、物怖じせずハキハキとモノを言うタイプで、同僚とも仲が良く好かれていたんです」

 研修でのテストの成績は常に上位。研修終盤になる頃には「Aは絶対に“やり手営業ウーマン”になる」と、誰もが思っていたという。

◆配属先はエリート集団、期待の星として注目

 研修が終わり、新入社員それぞれの配属先が決まった。Aは、配属先の中でも売り上げが高く、エリート社員が集まる部署に配属されたそうだ。

「誰もが納得の展開です。さえない部署に配属された私や同期たちは『できが違うね』としょんぼりしたものでした」

 しかし配属後、A以外の同期の中から実力で結果を出す人が出始めたという。そんなとき、事件が起こる。

「Aが、1か月も経たないうちに出社拒否をし、3か月後には退職することになったんです」

◆研修と実務は違う

営業 新人の営業は、まず既存顧客の中小企業に挨拶回りをすることになっている。ただし、Aの部署では既存の顧客だけではなく、“新規の大企業”に営業をかけることが多く、門前払いされることがほとんどだったようだ。

「何度も追い返されることを経験したAは、徐々に心が折れていき『もう外回りしたくない』『お客様に会うのが怖い』と悩み始めました。先輩からのフォローもあったそうなんですが、そんな中で同期たちが着々と売り上げを出しているのを見て、プレッシャーを感じていたそうです」

 研修では、どんな課題でもサラッとやっていただけに「どうして実践できないのか」。研修期間とのギャップに苦しんでいたと佐々木さんは振り返る。

「次第に遅刻や早退が増え、体調が悪いと会社を休むようになりました。挙げ句の果てには、引きこもり状態で会社に来れなくなったと聞きました」

 研修と実務が違うことに悩んだ結果、Aは挫折して退職することになったとか。

◆毎日の予定を同期にLINEするほどのリーダー的存在だった

 大手メーカーの人事職を担っていた山田ももさん(仮名・20代)は、入社2年目の春に、新入社員研修の担当になった。約20人の新入社員を一日中管理するため、忙しい日々が続いていたという。

「新入社員の中に、同期たちに積極的に声をかけているBがいました。彼は、リーダー的存在のようでした。ある日、別の新入社員CとBのことについて話していると、CさんがLINE画面を見せてくれたのですが、『Bはすごいんですよね。毎日、翌日の予定とかをみんなに連絡してくれて。最後には、“明日も頑張ろう”的なメッセージが入っているんです。これ、入社してから毎日ですよ』と言うんです」

 Bの予想以上のリーダーシップに山田さんも驚いたという。

◆パワハラを理由に1か月未満で退職

退職願を書く そして、研修が終了。新入社員の配属先が決まり、Bは優秀な社員が集まる営業所に配属された。Bは、「僕、配属後も研修内容をしっかり活かして頑張ります」と張り切っていたという。

 その後のBが気になった山田さんは、人事の先輩に聞いてみることにした。すると、衝撃の事実が明らかになった。

「『そう言えば、Bは辞めたよ』と言われました。まだ配属されて1か月も経っていません。どうやら、パワハラを受けたという理由で、会社と随分揉めたそうです」

◆話し合いの場には姉が参加、その後は弁護士対応に発展

 Bは、上司からの会議資料の訂正指示を受けた際、言い方が“パワハラ”だと受け取ったようだ。話し合いの場にはBの姉も参加し、その後は弁護士対応に発展したという。

 しかし事実を整理した結果、訴えることはなくなったという。

「結局、上司に非はないということで、自己都合での退職で決着がついたようです。あまりに早い退職に驚きましたが、Cさんや同期たちは事情を察していました。『彼はそういう感じになるかなって思っていました』という反応だったんです。積極的でリーダーシップがあるなど、よいところもあったけど、少し極端な言動……暴走気味な部分もあったとかで」

 研修時の印象や評価は、あくまで研修時のもの。採用する企業側と新入社員、どちらにとっても実務に出てみなければ、本当の相性はわからないのかもしれない。

<取材・文/chimi86>



【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。