バイプレーヤーとして映画やテレビに出演、舞台でも小劇場からミュージカルまで幅広く活躍している女優の松金よね子さん(67)。一見、姉御肌でお酒も強そうだが、意外に……。

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 最初から盛り下げるようですけど、数年前から飲んだ後に皮膚炎になりやすくなってお酒をセーブしています。そうしたら、最近は弱くなっちゃいましたね。何年か前までは料理しながら飲んでいました。キッチンドリンカーまではいかないけど、フライパンで炒め物をしながら片手で缶ビールをプシュッと開ける……それが楽しみで。

 ただ、「西荻の会」は別です。唯一楽しみにしている飲み会なんです。10年ほど前に佐藤B作さんと角野卓造さん、伊東四朗さんが始めた飲み会で、そこに私とB作夫人のあめくみちこさんが加わって、年に3回くらいは集まってワイワイやってます。面白かった芝居の話や、たわいもない話で盛り上がる。長い時間かけて少しずつ飲む私にとってはすごく居心地のいい集まりです。こう見えて人見知りなものですから(笑い)、知らない人がいる宴席にはなかなか入っていけなくて。その点「西荻の会」はお互いに気心が知れた人ばかりなので、毎回無礼講。

 角野さんが番頭さん役でおいしい店をリサーチし、お気に入りの寿司屋さんで食事してから2次会の中華や居酒屋で軽く飲み直し、3次会はカラオケというのが定番のコース。カラオケで歌うのは笠置シヅ子、美空ひばり、忌野清志郎や昭和歌謡。角野さんはサザンの桑田が多いですね。B作さんは萩原健一系、伊東さんは他の人がクールファイブを歌うと絶妙のコーラスをつけてくれます。

 飲むだけじゃなく、一度このメンバーで芝居をやろうということになり、下北沢の劇場で公演したことがあります。それなりに楽しかったけど、結局芝居より飲んでる方がもっと楽しいねということになりました(笑い)。

 私は劇団テアトル・エコーが出発点。その後東京乾電池、東京ヴォードヴィルショーに客演させていただくなど、いわば小劇場育ちです。昔あった「飲めない役者は役者じゃない」みたいな風潮をもろに受けた世代なので、無理して飲んでいた時期もあります。

■「1週間やめるか一生かのどっちかを選びなさい!」と言われて

 30歳の頃、柄本明さんの「東京乾電池」に客演した時は役者として落ち込みまくりまして。というのも、台本なしの即興で芝居をつくっていくインプロと呼ばれる手法なのに面白い発想が全然浮かばない。周りからも「つまらない」と散々。思い余って自分を解放できるかもとお酒を飲んで、気分をハイにして稽古場に行ったんです。

 自分では楽しくて楽しくてしょうがないんだけど、周りから見たら酒の勢いを借りてやってるだけの芝居で、柄本さんたちに諭されて大いに反省しました。飲んで帰ってマンションの前で滑って転んだのに、“まあいいや”ってそのまま髪を洗って寝入ってしまい、朝起きたら枕に血がべったりというのもこの頃。

 劇団の先輩にお願いして、スナックでバイトしたこともありました。でもお客が来なくて。日給2400円でしたが、売り上げがそこまで行かない日も多くて申し訳ないことをしました(笑い)。

 若い頃、地方公演で1カ月間ホテル暮らしをしたことがありました。時間があるので毎日、共演の俳優さんの行きつけの店でウオツカをご相伴させていただいたら、ある日、突然皮膚に湿疹ができました。医者に行ったら「このまま飲んでいたら一生飲めなくなりますよ。1週間やめるか一生か、どっちかを選びなさい」と言われたので、軽い気持ちで「ビール少しくらいなら大丈夫ですよね」と返答したら「あなた、一生飲めなくてもいいんですね」と一喝されました。

 その厳しい先生のおかげで目が覚めました。それ以来、量をセーブするようにしました。もちろん仕事が終わったら軽くビールという楽しみは捨てたくないですけど。