「ウチは先週前半から『あの画』はいずれの番組も使えなくなりました。上からの指示でNGのお達しが出たんです」

 こう話すのは、さるフジテレビ社員だ。「あの画」とは不倫疑惑に端を発し、夫・船越英一郎(56)への怒りをむき出しにする松居一代(60)が「命を懸けて」配信し続けているユーチューブの動画のこと。今月4日から手を替え品を替え、“投下”し続ける例の動画だ。

 日頃から芸能ゴシップに力を入れる平日昼の情報番組「バイキング」(フジ系)は一連の騒動を受け、6日の放送回では14年4月の番組放送開始以来、過去最高の視聴率8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマーク。同時間帯トップの大金星まで挙げた。そんな上昇気流に乗っかって番組制作サイドは攻勢を強めたいところだが、「動画NGになったのは船越が所属するホリプロから“今後も動画を使い続けるのであれば、訴訟も辞さない”といったクレームが入ったから。どの局もそうだと思うが、多数のタレントを抱える大手芸能プロが相手だけに、今後の付き合いを考えると対応せざるを得ない」(前出のフジテレビ社員)。

 松居報道の視聴率特需は「バイキング」に限った話ではない。別の民放キー局プロデューサーも「松居ネタを取り上げると瞬間的に視聴率が跳ね上がる」と話す。テレビ各局の複数の番組による報道合戦の火ぶたが切って落とされたのは、第1弾の動画が配信された翌5日。「次世代メディア研究所」が算出したデータによると、朝昼夕の民放各局が取り上げた松居報道の総扱い時間はこの2週間で35時間。甚大な被害をもたらした九州豪雨が起こった最中でも、ほぼ毎日1〜4時間かけて報じられてきたことになる。

■各局で異なる報じ方

 もっとも横並びではない。NHKとテレビ東京は一切報じておらず、動画の取り扱い方ひとつとっても対応は異なる。18日現在、フジ系の情報番組はいずれも動画をもとに作製したイラストにシフト。「スッキリ!!」や「情報ライブ ミヤネ屋」といった日本テレビ系も、動画は「別宅の真相」のタイトルテロップを映すにとどまり、松居の表情はイラスト。テレビ朝日系は騒動自体を取り上げない番組も出てきているなか、「ビビット」や「ゴゴスマ」などのTBS系は動画をそのまま流す強気の姿勢だ。

 同研究所所長の鈴木祐司氏はこう言う。

「開局当時の民放の番組づくりは視聴者の対50%を相手にすることを標榜してきた。一般大衆に向けた情報や内容にすることは、ひいては視聴率につながるわけですが、いまもなお60年前の標榜を掲げたままの姿勢にしか見えない。視聴率以外に視聴者の声をすくう手段はないのか。今回の騒動は目先の事象の取り扱い方だけでなく、番組づくりの根本を考え直すきっかけにもなるのではないでしょうか」

 数字優先で松居劇場を今後も垂れ流すのか、それとも良識的な判断を下すのか。テレビの“民度”が試されている。