コラム【芸能界仕事術】

 先週末、宇多田ヒカル(35)の離婚が報じられた。宇多田といえば、言わずと知れた、日本のトップシンガー・ソングライターだ。

 2010年に“人間活動”を理由に無期限活動休止となった。自分で切符を買って電車に乗るといった普通の行動をしたいので……というわけだ。

 14年にイタリア人バーテンダーと再婚し、長男を出産。16年になってNHK朝ドラ主題歌をリリースして活動を再開したとされている。その流れの後、離婚が明らかになるのだが、その理由も時期もまったく不明のままとなっている。

 結婚生活がダメになっての活動再開か、活動を始めてスレ違いなどの理由で破局したのか、活動と離婚の関係などまったく判然としない。また、一部の報道では、宇多田が現在プロデュースしている若手男性ミュージシャンが新しい恋人なのではないかという話も出ている。

 で、こういう話について、宇多田というアーティストは極めて取材しにくく、確認ができない人物だ。

 思えば、デビューした後のファーストアルバムが、最終的に900万枚超えのセールスを記録し、化け物的な大ヒットで大スターとなった。その頃から父親の宇多田照實さん(69)がマネジメントをしていて、当時のレコード会社の担当役員のわずかな人が宇多田と直接、話をすることができるといった具合で、なかなか情報が出てこない存在になっていた。

■ファンの飢餓感あおる手法

 それは今も同じで、ロンドン在住ということになっているが、ニューヨークにもコンドミニアムを所有しているといわれ、日本を含めどこにいるのかさえ確定できない状況。情報がマスコミを通じて出てくることが極端に少ないということになる。

 これ、実は多くのファンのいる、ごく少ないタレントだけが使える、“ファンを飢えさせる”という高等テクニックだ。意図したものではなく、結果的にそうなっているのだろう。この“ファンを飢えさせる”という戦術は、例を挙げると、全盛期のSMAPがそうだった。

 通常、アーティストは年に一度、アルバムを発売してコンサートツアーを展開するのだが、SMAPはある時から毎年ツアーを行わず、コンサートのない年をつくった。他の仕事をそれぞれのメンバーが行っていることもあるが、5人が揃って歌うところを見たいファンはガックリ。その翌年にでもツアー開催すると、熱狂的にコンサートに殺到することになる。

 もちろん、超がつくほどの人気がなければ、忘れられるぐらいのリスクある手法だが、宇多田は自然にその手法を使っている。誰もが宇多田の楽曲が新たに出れば、気になって耳を傾ける存在なのだ。突然、名前が出た背景には何があるのか? 案の定、近く12年ぶりの国内ツアーを開催するそうだ。
(城下尊之/芸能ジャーナリスト)