【芸能界クロスロード】

 芸能事務所も多様化する時代。俳優・歌手から文化人まで抱える総合商社のような大手もあれば、お笑い芸人の吉本興業、アイドルに特化したジャニーズ事務所もある。タレントの育て方、売り方も事務所の数だけさまざまだ。

「適応障害」で休業した深田恭子が所属するのは大手のホリプロ。和田アキ子ら多くのタレントが所属する老舗だ。独立するタレントが多い昨今、退社率の低い事務所としても知られている。「環境が整えられた居心地のいい事務所」ともいわれている。

 ホリプロの特徴のひとつは、山口百恵さんらを育てた実績から、今もアイドル的な売り方が加味されていること。深田は綾瀬はるか、石原さとみと共に「ホリプロ3人娘」としてドラマの主演を張る看板的な存在にまでなったが、アイドルとしての側面もあった。

 深田は女優と並行してグラビア活動も活発だった。小麦色の肌にビキニの写真集は人気を博し、プロポーションを強調した衣装に身を包んだ「ルパンの娘」は彼女の代表作になった。とはいえ、すでに38歳。そろそろ「アイドル」の看板を外す時期でもある。

「仕事をやらされている感が今もする。女優として脇役も含め、いろいろな役に挑戦して今後の方向性を見つける必要がある」(テレビ関係者)

 女優業に対する現状の悩みが適応障害の一因になっているかもしれない。

 今でこそ石原は結婚。深田は自由に恋愛しているほうだが、恋人がいながら結婚には至っていない。

スターダストにはアイドルの肩書が付く女優はいない

 仕事と結婚。女優が必ず当たる壁に直面していることも一因だろう。北川景子ら人気女優を多く抱える「スターダスト」はホリプロと似た事務所だが、アイドルの肩書の付く女優はいない。

「恋愛など私生活に関してわりと自由にさせている。その分、芸能メディアに騒がれることも多い。退社組だが、柴咲コウや梅宮アンナ、沢尻エリカは恋愛話で賑わせた。それでも順調に女優は育っている。恋愛をどう捉えるかは事務所の方針の差」(芸能関係者)

 男性俳優に目を向けても両社の違いは歴然。ホリプロの竹内涼真はイケメン俳優として売り出し、アイドルを彷彿させる人気で主演を張ってきた。最近はワイルドな面を押し出し、アイドルからの脱却を図っているように見えるが、一度付いた色をどう取り払うか注目される。

 スターダストには竹内と同じ28歳の仲野太賀がいる。社会派作品を中心に脇役として地道に活動してきたが、近年の活躍は目覚ましい。昨年だけでもドラマ・映画7本に出演する超売れっ子になった。今年も役所広司主演の映画「すばらしき世界」で準主役に抜擢された。映画関係者によれば、「作品を見てファンになる人が多い俳優。見た人から口コミで広がり人気になった」という。

 さまざまな役で鍛えた俳優のスキルが開花した。人気先行で主役を張ってきた竹内がウサギなら、ゆっくりでもじっくり力をつけてきた仲野はカメ。

 事務所という未知の環境に身を投じて始まる俳優人生だが、どんな環境にも対応可能な実力をつけることも大切である。

(二田一比古/ジャーナリスト)