【コロナ禍で浮かぶ大学、沈む大学】#2

 今年の入試では地元大学への進学志向が顕著になった。もともと地元志向は、保護者が子どもを手元に置いておきたい気持ちから強まってきた。

 少子化で子どもの数が少ないこともある。地元の国立大に進学し、卒業後は地元で公務員になるのが地方ではエリートコースといわれるほどだ。しかし、高校生は必ずしもそうではなく、大都市圏の大学への進学を希望する受験生も少なくない。それがコロナ禍の影響で、感染が拡大している大都市の大学には進学したくないと考える受験生が増え、地元大学への進学志向が高まったのだ。

 特に出願が始まった今年1月は、東京などで緊急事態宣言が再発出されたために不安が高まり、地方の受験生の大都市圏の大学敬遠の傾向が強まった。特に東京の大学で傾向が顕著だった。

 一般選抜の合格者数でみると、早稲田大は1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)外からが全体に占める割合が、昨年の26.8%から23.1%にダウン。同様に慶應義塾大は26.7%から25%へ、明治大が26.2%から22.7%にダウンした。

 大手私立大のほとんどで、地方からの受験生が減る結果となり、関東ローカル化がさらに進んだ。逆にいえば、地元である東京圏の受験生にとっては、入りやすくなったといえよう。地方の受験生はコロナ感染対策のため、入試方式も選別したようだ。一度の受験でいろいろな学部の合否判定が受けられる全学部が同時に入試を行う方式や、そもそも受験に行かなくて済む共通テスト利用入試を活用したと見られる。

 また、国立大でもダウンが目立ち、お茶の水女子大は48.6%から41%に、東京農工大は34.1%から29%に、横浜国立大は42.7%から35.5%にダウンした。私立大よりダウン幅が大きく、これは地元の国公立大との選択で、地元大学を選んだ地方の受験生が多かったことが影響しているとみられる。

■コロナの影響も受けない国立の最難関大

 一方、東京でも地方の受験生が増えている難関大もある。東大と東京工業大だ。国立の最難関大になると、コロナの影響も受けないようだ。他でも今年の入試では、大学のコロナ禍への対応も志願者数に影響した。2021年入試実施前に、今年の4月から「原則、対面授業」を公表していた大学の志願者が堅調だった。増加したところでは駒澤大、上智大、龍谷大、関西学院大などだ。立教大も1、2年生については「原則、対面授業」実施と公表しており志願者が増加した。

 今年は私立大の志願者は、戦後最大といわれる14%ほど減少したため、増加しただけでも人気を集めたといえよう。他にも志願者数は減少したが、14%までは減らなかったのが明治大、明治学院大だ。コロナの感染対策はもちろん必要だが、受験生の多くは、やはり、キャンパスに通いたい気持ちが強い。昨年の学生のように毎日、家で画面越しに授業を受けても、大学生としての実感はわかない。感染拡大が収まることが一番だが、大学側の対面授業実施への工夫も求められている。

(安田賢治/大学通信常務取締役、情報調査・編集部ゼネラルマネージャー)