「天然以上!」と言う人もいる。養殖ウナギのことだ。中でも頂点に君臨するのが、「うなぎ坂東太郎」と「共水うなぎ」の2つ。どちらも限られた店舗でしか取り扱いがないレアモノだ。どんな味なのか。25日の土用の丑(うし)の日を前に、記者が食べ比べてみた。

■うなぎ坂東太郎

 千葉県銚子市のウナギ卸問屋「忠平」が約25年前に売り出した。開発に10年かかったという。社長の高安道征さんが言う。

「その頃の養殖ウナギがどれもおいしくなくて……。どうすればおいしくなるのか? 研究し始めたのが、ブランド化のキッカケです」

 試行錯誤の末にたどり着いたのがエサだった。通常はブラウンミールと呼ばれるイワシ中心のエサを使用する。これだとすぐに酸化して、品質が落ちるのだが……。

「白身魚のホワイトミールに生アジのすり身を加えたエサに変更したところ、クセのない脂を持つウナギに育ちました」

 天然ウナギの名産地・利根川の別名が由来の分かりやすいネーミングもあり、やがて全国に知られるように。年間生産量は約60トンながら、取り扱う店舗は全国に約30軒。記者はそのうちの1軒、「駒形前川 新丸ビル店」で「うな重」(4212円)を食べてみた。

 ほどよい弾力があり、身と皮の間のゼラチンがたっぷり。脂は多くても決してクドくはなく、サラッとしていてウマ味がたっぷり。個人的にはかなりおいしい。ただしこの値段で1匹分というのはちと寂しい気も……。

■共水うなぎ

 静岡県焼津市の「共水」が昭和50年代初めに売り出した。こちらも味が落ちる一方だった当時の養殖ウナギの未来を憂えた先代の社長が品質研究を始めたのが、商品化のキッカケだという。現社長の片岡征哉さんが言う。

「日本橋の老舗ウナギ店の旦那衆にも協力をいただいたと聞いています。お店側も養殖ウナギの味を何とかしたいと思っていたようです。需要と供給がマッチしたのが、よかったのでしょう」

 特徴は、自前の井戸から自噴する大井川の伏流水を温度調節し四季に近い環境をつくること。

「疑似四季飼育といいます。そこで通常の養殖期間の3倍近い1年半もの時間をかけて、シラスからじっくりと成魚に育て上げることで、『熟成』させるのです。それによって、天然ウナギのような甘い香りと味を持たせることに成功しました」 年間生産量は約80トン。取扱店舗数は全国で約40軒。そのうちの1軒、日本橋の「高嶋家」で、共水うなぎを1匹半使った「うな重 菊」(4400円)を実食!

 う〜ん、きめ細かな肉質。脂が上品でアッサリしているので、1匹半でも余裕でペロリ。コッテリな脂を好む人には、物足りないかも。女将いわく、「白焼きにするとより味の違いがわかりますよ」。

 正直、甲乙つけがたい。ただし今回の取材で財布はスッカラカン。丑の日当日は、スーパーでガマンだ。

※食べられる店の情報は各社の公式サイトで紹介。通販もあり。