全国で1年間に落とし物として警察に届けられる「現金」はいくらか。正解は約177億円(平成28年中)。裸か封筒に入った現金のみで、財布の中身は含まれていない。この春に報道された米トランプ大統領の05年の年収に匹敵する金額だ。そんなに落とすカネがどこにあるのか不思議だが、気になるのは本人確認の方法。札に名前が書いてあるわけではない。どうやって名乗り主が持ち主と確認するのか。

 警察庁の広報担当者が言う。

「現金、物品にかかわらず、物件の種類や特徴、遺失した日時、場所等を聴き、拾得したものと照合して、本人かどうか確定します」

 現金の場合、金額も重要だが、1円単位で合わなければダメというわけではない。より重要なのは状況証拠の積み重ねらしい。

 そういわれてみると、財布を落として交番に届けると、財布の色や材質、メーカー、入っていた金額やキャッシュカード・クレジットカードの会社名と枚数などとにかく細かく聴取される。それが1000万円単位ならなおさらだろう。

■確認は電話一本でOKに

 今年4月、群馬県沼田市にある廃棄物運搬会社の敷地内で、ゴミの中から現金4251万円が発見されたが、持ち主は故人と判明した。決め手は何だったのか。

「現金の帯封に記された日付と同じ日に、持ち主が現金を引き出していたのがひとつ。もうひとつは、現金が入った紙箱に記された文字と持ち主のメモ書きの筆跡が同じだったことです」

 高額なこともあるが、慎重だ。それもそのはずで、約177億円の「拾った」という届け出に対し、「落とした」という届け出は2倍以上の約366億円。簡単に返せないワケだ。

 つまり落とした現金はなかなか戻ってこない。もし落としたら、すぐに落としたと思われる場所や日時、金額、封筒の色や形などをメモしておいた方が後々無難か。

 現金も含め、全国に届けられた落とし物は、警察庁の「都道府県警察における遺失物の公表ページ」で確認できる。日付と大まかな落とし場所から検索可能。心当たりのある人は調べてみるといい。

 実は今年4月に本人確認の仕組みが変わり、電話一本でOKに。

 それで本人と認められれば、着払いで自宅に送ってもらうこともできるという。