糖尿病の人はどういった味を好むのか? 日本糖尿病学会で発表された内容は、糖尿病の予防・対策に役立ちそうだ。

 2015年から「糖尿病患者の味の嗜好」について調べているのは、「おない内科クリニック」(群馬)の管理栄養士で糖尿病療養指導士の羽鳥洋子氏。

「『甘いものが好きだから糖尿病になった』と患者さんが言うのを聞いて、本当にそうだろうかと思ったのが調査のきっかけです」

 2015年9〜10月にかけて簡単なアンケート用紙を通院患者に渡し、494人が答えた。

 質問内容は、「食事には主食・主菜・副菜をそろえる」「揚げ物を控える」「洋菓子・和菓子を毎日食べない」といった食習慣を問うものが10項目。穀物、肉、魚、海藻類といったほぼ毎日食べる食品・食品群を答えるものが13項目。そして最後に、甘味、塩味、酸味について、「好き」「普通」「嫌い」と回答欄を設けた。

「あえて質問内容をごく簡単なものにし、本人が『当てはまる』と思えば○をつけてもらうかたちにしました」

 その結果、「酸味が嫌い」と回答した患者は86人、「好き」は148人。BMI25以上、HbA1c8以上の人はどちらも「嫌い」に多く、それぞれ「好き」の1・29倍、1・78倍だった。肥満度を示すBMIは25以上が肥満。HbA1c8以上は、一般的に糖尿病の合併症が進みやすい状態といわれる。同様に、塩味、甘味ともに、「好き」の方が「嫌い」よりBMI25以上、HbA1c8以上の人が多かった。

■塩味と一緒に糖質も摂取している

 羽鳥氏が調査結果から注目したのは塩味だ。

「白米やうどんなど糖質を過剰に取ると血糖コントロールが悪くなります。『塩味が好き』ということからよく聞くと、『漬物一切れで一膳は優に食べられる』といったように、塩味と一緒に糖質をたくさん取っているのです」

 甘いものを取っていないのに血糖コントロールが悪い人は、塩味の好みをチェックすれば、その理由がわかるかもしれない。実際、羽鳥氏が指導した患者には、塩分量を減らしたことで食事量が減り、減量につながった人もいる。

 また、酸味が好きな人は、比較的食習慣が良く、さまざまな食品・食品群を取っていた。このことから、「酸味が好き=血糖コントロールを良くする」ではなく、酸味が好きな人は食に気を使っている傾向があり、結果的に、血糖コントロールが良くなっている可能性が考えられる。

■「食事をカラフルに」を心がける

 さらに、羽鳥氏が今回の調査で改めて痛感したのが、「食への無関心さ」だ。

「特に男性に多かったのが『女房に任せているので、(食習慣や食べているものなど)分からない』という回答です」

 油脂類について「取っているか分からない」と言う。「市販のお弁当は食べていない?」と聞くと、「食べている」と答える。「お弁当には揚げ物など油脂類が入ってますよ」と言うと、○をつける――といった具合だ。「ポン酢には醤油が入っていないと思っていた」「菓子パンが“菓子”だと知らなかった」という人も珍しくない。

「こういう人ほど『○○○が血糖値を下げる』といった情報を耳にすると、一つの食材だけを取ろうとします。バランスよくさまざまな食材を取ることが重要です」

 栄養知識を身に付けるのがベストだが、難しいなら、カラフルな色の食材がテーブルに並ぶように心掛ける。ざるそばでは一色だが、野菜や肉、納豆などがのったそばにして副菜をつければカラフルになる。簡単なことすらできていない人は多い。そこから始めよう。