連勝記録が「29」でストップしてから1カ月弱。最近はワイドショーが追い回す機会も減ったが、藤井聡太四段(15)は順調に勝ち星を重ねている。27日も「銀河戦」の予選で平藤真吾七段(53)と対局して勝利。本戦トーナメントへの出場を決めた。通算成績は34勝2敗となった。

 藤井四段は7月2日に「竜王戦」、21日に「上州YAMADAチャレンジ杯」に敗退したが、実はこの銀河戦のほかに8つの公式戦を戦っている。「名人戦順位戦」「王将戦」「棋王戦」「NHK杯」「叡王戦」「加古川青流戦」「新人王戦」「朝日杯将棋オープン戦」だ。棋王戦は予選を通過。NHK杯は本戦の1回戦で千田翔太六段(23)に勝利している。

 9つの公式戦に挑んでいるとなれば、どれかひとつくらいタイトルを奪取できるのではないかと期待してしまうが、そう簡単ではないようだ。

「週刊将棋」元編集長の古作登氏(大阪商業大アミューズメント産業研究所主任研究員)が言う。

「プロ野球の新人王候補のピッチャーと同じで、藤井四段は既にマークされています。ライバルたちは彼が奨励会の三段だったころから、勝つための対策を練ってきました。ベテランの対戦相手も藤井四段が得意とする戦法を使えないよう研究してくるでしょう」

 とはいえ、藤井四段はこの“包囲網”を突破する実力を備えている。古作氏が着目するのが精神力だ。藤井四段は竜王戦などで敗れたときも落ち込むことなく、マスコミの取材にハキハキ答えていた。

「2敗しましたが、彼の将棋は守りに入ることなく、新しい形に挑戦しています。やりたいようにやるという姿勢であるかぎり、対局しながらどんどん伸びるでしょう。もうひとつの武器は若さです。銀河戦、棋聖戦、NHK杯、棋王戦は持ち時間が短い。これは頭の回転が速い若者に有利なのです。いい例が屋敷伸之九段。1990年に、18歳6カ月で棋聖戦を勝ち取り、タイトル獲得の最年少記録となりました。藤井四段はまだ15歳になったばかり。年度内にタイトル争いに絡んでくる可能性はあります。持ち時間が短い対局のときはテレビから目が離せなくなりそうです」(古作登氏)

 チャレンジ精神と頭の回転が藤井四段を飛躍させてくれそうだ。