1954年創業の“元祖”熊本ラーメン「こむらさき」本店(熊本市中央区上林町)が7月いっぱいで閉店する。

「昨年1月から一時休業し、再起を目指していたのですが、その後の熊本地震の影響が大きく、人手不足など、さまざまな理由から閉店を決めました」(広報担当者)

 県内外のファンに愛され続けて63年、苦渋の決断だったようだが、同じ中央区にある上通中央店と、新横浜ラーメン博物館内にある新横浜店は、引き続き営業。ファンはひと安心だろうが、都内で10年以上ラーメン店を営む店主は「人手不足はどこも同じ。あすはわが身です」と漏らす。

 今年5月の有効求人倍率は1.49倍。職業別では「飲食物調理」が2.93倍、「接客・給仕」が3.56倍と、飲食業界の人手不足は深刻だ。

「そこそこ人気だったのにスタッフが集まらず、泣く泣く店を畳んだ仲間を何人も知っています。それに客の好みはコロコロ変わるし、すぐに新しい味に飛びついていく。比較的少ない資金で開業できるラーメン店は、毎年3000店以上が新規にオープンし、同じ数だけ潰れているともいわれる。“戦国時代”どころじゃありません」(前出のラーメン店主)

 たとえ「こむらさき」のような老舗でも、いつ乱世の露と消えても不思議じゃないという。

「こむらさきは、鶏ガラを加えたまろやかな豚骨スープ、もっちり細麺に細かく刻んで炒ったニンニクチップが特徴といいますが、それは懐かしい味であって、目新しい味ではありません。もちろんオールドファンには支持されるはず。ですが、老舗の看板だけでイマドキの舌の肥えた客を新たにつかめるかといえば、微妙でしょう」(フードコンサルタント)

 しのぎを削るラーメン業界、老舗が四苦八苦するぐらいだから、新規店は推して知るべしだ。

「“ジロリアン”みたいな熱狂的な固定ファンはほぼ男性です。最近は新規客を獲得しようと、女性を意識した小じゃれたラーメン店も増えていますが、女性は基本的に浮気性。新しい物を食べたがって店を移っていく。やたら増えた自称ラーメン評論家の男性もしかりで、長い目で見るとアテになりません。結局ラーメン一本では成り立たずに、居酒屋形態に転換せざるを得なくなるわけです」(経済ジャーナリスト・長崎憲二氏)

 ラーメン居酒屋、確かに増えた気がする。