昨年9月、台風10号の豪雨被害の視察で岩手県岩泉町を訪れた務台俊介政務官(当時)が、同行した政府職員に「おんぶ」されて水たまりを渡り世間から批判を浴びた。被災地に長靴を持参せずに丈の短い靴で訪問したためで、これがきっかけで更迭されたが、実は専門家たちは「豪雨に長靴こそ危険」と指摘している。

 防災・危機管理アドバイザーで防災システム研究所の山村武彦氏はこう言う。

「濁流は短時間で、数十センチ、場合によっては1メートル近い高さになる。水かさが膝近くになれば当然、長靴のスキマから、水や土砂が入り込む。歩きにくく足を取られる危険があり、長靴は避けるべきです。材木やトタンが流れてくるので、ケガをする恐れのある裸足やサンダルもダメ。豪雨時の避難は、スニーカーのように足を固定できる紐靴を履いてください」

 最近は若い女性の間で、おしゃれなレインブーツがはやっているが、これも危機管理的には疑問。

「長靴なら、水や異物が入らない上部のスキマを紐でキッチリすぼめるタイプを選んでください」(山村氏)と言う。見栄えのいいブーツはやはりNGだ。

 その上で、水かさが1メートル級になれば材木など杖になるものを使い、前を確認しながら歩くこと。道路が冠水していれば、マンホールのふたが開いていても気付かずに、落下する可能性があるからだ。

 今週は神奈川・横浜市、川崎市を集中豪雨が襲った。都心のサラリーマンも会社に対策グッズを準備しておくべきである。

「履き古した濡れてもいいスニーカーを1足。雨がっぱ、手袋(軍手)、懐中電灯があれば十分。避難所への移動や帰宅時に役立ちます。都心で勤務している人なら、すぐに帰ろうとせずに様子を見て近くにある高層ビルの上階のカフェなどで待機することをお勧めします。近くに川のないエリアなどは氾濫の恐れもなく、雨がやんだ後、1時間程度で水が引きはじめることもありますからね」(山村氏)