10月1日から東京都が「Go To トラベル」キャンペーンの対象に加わったことで利用者が爆発的に増え、ポイント還元がある大手旅行予約サイトに申し込みが殺到。国からサイト事業者に割り当てられた給付枠が底を突きかけ、国交省は急きょ、予算の追加配分を決定し、事業者によって割引率が異なる状況はすぐに解消された。国交省は今後も35%の割引幅を維持する構えで、再びサイト事業者の予算が不足することになれば、追加の予算が配分される。

「国交省の赤羽一嘉大臣は20日の会見で、『幅広い観光関係事業者の経営の安定化と雇用の維持、地域経済の活性化に全力を尽くす』と発言しました。しかし、一部の旅行予約サイトに追加で給付枠を与え、集中しないように設定した13の地域枠も撤廃と方針変更したのは、明らかに中小旅行会社の倒産を増加させる行為です。言っていることと、やっていることが乖離しています」(旅行ライターの渡辺輝乃氏)

 大手予約サイトが給付枠を使い切れば予算が余っている中小旅行会社に利用客が流れるとみられていたが、これではキャンペーン終了まで大手予約サイトが潤い続けることになる。そもそも給付枠自体、前年の国内旅行の取扱高と販売計画に基づき決定されたもの。大手予約サイトばかりに繰り返し追加配分されれば、実績に応じて「公平」に配分されたはずの当初の給付枠そのものが何だったのかということになる。

 23日、観光庁の蒲生篤実長官が会見。利用者の利便性を重視し、各社と各地域に割り振られた「予算枠」を撤廃すると発表した。

「中小旅行会社の救済策はどうなるのか」

 会見で前出の渡辺輝乃氏が質問すると、蒲生長官は歯切れが悪かったという。

「アンバランスになるようでしたら、中小が必要となる分だけ予算枠を渡そうと思ってます。ただし全額というわけにもいきません。ある程度バランス良くするという意味です」

 渡辺氏があらためてこう言う。

■見直すどころか ますます不公平に

「ひたすらニーズが高いところに予算を配分するとなると中小は潰れます。恩恵を受けられないまま固定費がかさみ、借金だけが増える。その点、大手予約サイトや大手旅行会社は給付金という名の税金をもらえるだけでなく、宿泊施設からも手数料が入ってくる。何もしなくても国が莫大な利益をもたらしてくれるのですから、こんなにおいしい話はありません。健康で経済的、時間的に余裕があり、何度も旅行できる人が利益を得る一方で、高齢者や基礎疾患のある人は何の還元もない。原資は国民の税金ですから本来なら公平になるよう制度を見直すべきなのに、どんどん不公平な制度に改悪されています」

 大手予約サイト、大手旅行会社からは高笑いが、中小旅行会社からは恨み節が聞こえてきそうだ。