【○○が好きすぎて副業になっちゃいました】

 人生経験のシェアリングを通して、副業にもつながるキャリア支援をするドットライフ。その代表である新條隼人さん(31歳)に、サービスと副業市場について聞いた。まずは、人生経験のシェアリングサービス「another life.」の概要から。

「another life.は弊社が独自取材した1200人以上の方たちの人生経験が語られた記事が掲載されたウェブメディアです。弊社のインタビュアーが対面またはオンラインで取材に出向き、人生経験や考え方などを深掘りして聞いていきます。日本全国、20代から80代、農家、政治家、経営者などさまざまな属性の方たちです。

 掲載最高齢の88歳の方は教師から宝石商になった経験を語っています。人生を素直に丸ごと語ったものは、本人では信じられないくらい他者にとって価値あるものになります。1つの記事は約4000〜5000字程度で構成されているのですが、記事に興味を持って、個別ページを開いた方の約7割が最後まで閲覧しています。長文記事の中では通読率がかなり高い方です。現在、会社員の総合職であり、エンジニアやデザイナーという専門職でなくても、スキル、経験、思いの見せ方次第で副業につながるケースがあります」

「another life.」からは、コーチングやコンサルティング、地域創生の仕事が副業としてマッチングしているという。筆者も人と会う前後に、自分の会社、個人のブログページ、今までのポートフォリオなどをセットで送付する。自分への理解度が格段に変わり、名刺の比ではなく仕事につながりやすい。

 ドットライフは掲載者自身が編集できる「another life.profile」(月額500円)というサービスも始めた。略歴、詳細年表、具体的な活動などのほかに、今の活動につながる「原体験」という入力項目がある。

「現在、会員向けにanother life.profileのワークショップをしています。誰に見せたいのか、見た後にどう感じて欲しいのか、どう行動につなげてもらうのか、どんな手段で伝えるのか。具体的に書き出してディスカッションします。プロフィルでは機能と共感の両方を見せるのがポイントです。スキルや経験は仕事上の機能的な価値であり、重要な要素ですが代替性があります。

 一方、原体験やストーリーは共感的な価値です。一緒に働くモチベーションにつながりますが、依頼する仕事の具体性には欠けます。この両方がそろうとストーリーが生まれるんです。プロフィルページから仕事を依頼できるフォームもついています。コロナ禍で直接会う機会が減ったので、ウェブを使った自己プロデュース力が重要になっていると思います」

 ドットライフは、これら以外にも企業ブランディング、採用広報、移住施策など、多数の企業や自治体とタイアップして、独自にマネタイズをしている。最後に新條さん自身の会社での取り組みについて聞いた。

「弊社では社員全員、副業OKにしています。書籍の編集、CDジャケットのデザイン、地域創生などに取り組んでいる人たちがいます。業務時間内でも調整できていれば副業をしていてもOKです。自社で取り組んでいる事業の価値観と一気通貫の組織づくりに努めていることに加え、今後は、個人があって、会社があるという順番で考えていかないと人材が残っていかないでしょう。雇用の流動性が高まる中で採用競争力を維持するために、働く人が何かを失うことなく、さらに活躍できる場を提供しなければなりません。その環境がつくれれば、自律的で仕事のできる人材が自然に集まるでしょう」

 副業市場はエンジニア、デザイナー、ウェブマーケティングなどのスキルを持った人材が強い。しかし、それ以外の職種でも自分自身をきちんと分析し、機能的価値、共感的価値をストーリーに乗せて見せることができれば副業のチャンスが広がるわけだ。企業が競争力維持のための副業人材をいかに受け入れているのか。さらに取材して報告していきたい。

(石塚集)