新型コロナウイルスの感染者数が再び全国的に増加し、「第3波」の見方が強まっている。しかし、Go To トラベルの見直しについて否定的な考えを示す菅首相。Go To トラベルが愚策か妙策か以前に、Go To トラベルによって浮き彫りになった日本人の醜い姿を明かしたい。都内の星付きホテルに勤務する女性がこう語る。

「Go To トラベルが始まってからお客さまの質が変わってしまいました。人間性を疑うような言動のオンパレードなんです。セクハラ発言を繰り返して出禁になった方、外国人スタッフに向かって差別的な発言をする方、部屋に設置された自己申告制のアルコール類、ソフトドリンクの入ったミニバーを使用し、申告せずそのままチェックアウトする方。ドライヤーやバスローブ、ハンガー等を片っ端から持ち帰る方など、枚挙にいとまがありません。窃盗被害を届けたり、何十万もの損害が出たりなど、Go To トラベル以前ではあり得ないようなことがこのたった1カ月の間に起こっています」

■「インバウンド客」の方がよかった

 ホテル内では「インバウンド客を受け入れてた頃の方が良かった」という声が聞かれるという。団体客の大きな声が騒がしく聞こえるだけで、金払いが良く、長期滞在の割に部屋を奇麗に使ってくれていたためだ。

「今のGo To トラベルでお越しになる日本人のお客さまは『いかに多く食べるか』を重視する傾向があり、残飯も多く食べ終わった席も汚い。部屋も掃除に入ると、1泊でなぜこんなに汚くできるのかとすら思う散らかしぶりです。わざわざマスクを外し、大声で唾をまき散らしながらスタッフに声を掛けてくる方もいます」(別の高級ホテル勤務女性)

 今までホテル側が厚意として行っていたサービスも、上記のようなマナーの悪い客のせいで縮小や中止をせざるを得なくなってしまうであろう。コロナ禍前まで第二の家のようにホテルでの滞在をゆっくり満喫し、スタッフとも友好関係を築いていたリピーター層は、Go Toの客の醸し出すファミレスのような煩雑とした雰囲気に耐えきれず足が遠のく、という悪循環もさまざまなホテルで出始めているという。

 かつて日本人の精神性の高さやマナーの良さが各国やメディアに称賛されたこともある。しかし、Go To トラベルは日本人のリアルな今の“本性”を浮き彫りにしてしまった。コロナによって、自粛警察やマスク警察という言葉も生まれたが、その正しさの矛先は他者へ向けられることが多い。いつから日本人はお金や物質面、そして他者に対する“余裕”がなくなってしまったのだろうか。コロナが私たちから奪ったものは、日常ではなく「心の余裕」かもしれない。

(取材・文=ライター・SALLiA)