もはや、頭の中は外遊でいっぱい。心ここにあらずなのだろう。

 14日の参院本会議で、新型コロナウイルスの感染状況について「現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていない」などと珍答弁した菅義偉首相のことだ。

 菅首相は「関西圏など特定の地域を中心に急速に感染拡大が進んでいる状況にあり、政府としては強い警戒感を持って対応すべき状況にあると考えている」とも言っていたが、相変わらず、いつまでに具体的に何をするのか――という内容には触れずじまい。まるで他人事だったから呆れるばかりだ。

 菅首相は「大きなうねりとまではなっていない」と言っていたが、この日の衆院内閣委に出席した政府分科会の尾身茂会長は「いわゆる第4波と言って差し支えないと思う」と答えている。そして現在、東京など6都府県に発出している「まん延防止等重点措置」の追加適用の是非についても、「極めて迅速に機動的に出す必要がある時期に来ている」と強い危機感を示していたのだ。

 専門家が「第4波」と断言しているにもかかわらず、「大きなうねりとまではなっていない」とは一体何なのか。では、どんな科学的根拠に基づき、どういう状況になったら「大きなうねり」と言うのか。というよりも、「大きなうねり」が襲来する前に手を打つべきなのが政府の役割ではないのか。

■菅首相は新型コロナウイルス感染症対策本部の本部長

 そもそも、菅首相は政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」の本部長だ。本来は前面に立ち、「第4波」の拡大を防ぐためにあらゆる策を講じるべき立場だ。菅首相自身も、3月18日に首都圏1都3県を対象とする緊急事態宣言を解除決定した際の会見で、「自ら先頭に立ち、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟で全力で取り組む」と言っていたではないか。

 それなのに先頭に立つどころか、15日から18日まで訪米を強行。公表されている外交日程を見る限り、日米首脳会談以外は何もない。まさに不要不急の外遊と言っていい。

 米国だって自国の都合を優先していったん、日米首脳会談を先送りした。日本も新型コロナの「第4波」を理由に、日を改めたいと米国のバイデン大統領に申し入れればいいではないか。政府のコロナ対策本部長の訪米中に、大阪や東京で感染爆発が起きたらどうするのか。

 国民は新型コロナ対策よりも東京五輪と訪米を重視する菅首相の姿をよく覚えていた方がいい。