【好きすぎて副業になっちゃいました】

 Icotsu(イコツ)さん 本業=葬儀屋(当時)

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 アニメのようなキャラクターで動画配信をするバーチャルYouTuber(VTuber)のIcotsu(イコツ)さん。葬儀系YouTuberではもっとも知名度があり、葬儀系VTuberとしては唯一の存在だ。Twitterのフォロワーは約2万人、動画チャンネル「ico通夜の黄泉巡りch」の登録者数は1.5万人。年齢は享年25歳で三回忌(という設定)である。「葬儀屋の日常」「自分で葬儀をやれば安くできる」など、貴重な裏話系のコンテンツも配信している。どうして葬儀系VTuberを始めたのか。

「勤めていた葬儀会社は少ないスタッフで運営していたし、葬儀の依頼はいつくるかわからない。休日を決めることが難しくて、半日潰して病院の予約を取ってもキャンセルしなきゃいけないことがあったし、旅行の予定も組めませんでした。それで、いつでもできる趣味はないかなと探していたところ、当時はまっていたニコニコ動画でVTuberのまとめ動画を見て、興味が湧いたんです」

 VTubeの世界では、バ美肉(ばびにく=バーチャル世界で美少女の姿を受肉することの略)に引かれる人が多い印象だが、Icotsuさんは、バ美肉よりVTuber界隈の居心地のよさや人間関係に魅力を感じた。

■日本で205人目

「私がVTuberデビューしたのが2018年2月。デビュー日からすると日本で205人目と言われています。私より前にデビューされていた約200人の方とコラボしたり、話す機会をたくさんいただくことができたのですが、そこに居場所を見つけられた感じです。手探りでコンテンツを作っていったり、それを応援する人がいたり。そういう界隈の居心地のよさって自分に合っていると思いました。特に、ねこますさん(バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん)、あっくん大魔王さん、歌衣メイカさんらの影響は大きいかもしれません」

バーチャル空間に居場所を見つけた

 骨をまとった葬儀屋VTuberが、バ美肉VTuberたちに受け入れられる。こんな多様性が認められる世界は、実世界ではなかなか見つからないのかもしれない。

 VTuberを始めるためにどのくらいの費用や手間が必要だったのか。

「オリジナルのアバターデザインと、アバターを動かすためのモデリングソフト。それを動作させるパソコンに周辺機器、配信のためのソフトウエアなどが必要です。私は初期投資で40万円くらいかかりました。スマホで無料アプリを使って、初期投資ゼロで始めることも可能です。少し前までは、現実の自分と切り離すために、魔王、エルフ、美少女、マシンなどの2次元キャラになるケースは多かったのですが、最近の傾向は、現実の自分の少し延長にあるただのアバターというVTuberが増えました。界隈に入ってくるためのドレスコードという感覚になっているんでしょうね」

 最後に収入を聞いた。

「動画の広告、企業案件、配信中のスーパーチャット、メンバーシップなどが主な収入です。葬儀屋さんのYouTube、Twitterアカウントからけっこうな数のフォローもされました。累計で数十万円程度。趣味をしながらお小遣いが稼げてるって感じです。VTuberがいないニッチと思われている業界はこれから始める人にはオススメかもしれません。広報やプロモーションの仕事依頼が来る可能性は高いと思います」

 なんと、Icotsuさんは最近、葬儀会社を退職。自身のVTuber活動と、バーチャル孤児のビビアン・レッドドアさん、ダークエルフのケリンさんらのマネジメントや活動補佐を仕事にしてしまった。好きな界隈に飛び込んで本業にしたのである。 

(石塚集)