飲酒暴行疑惑が浮上している巨人の山口俊(30)が19日、出場選手登録を抹消された。

 前日に発覚した前代未聞のトラブルは、都内飲食店で右手甲を負傷した山口俊が、自身30歳の誕生日でもある11日未明に目黒区内の病院へ向かったことから始まる。この時、酒に酔った状態で、扉を蹴るなどして破壊したうえ、男性警備員を負傷させたというものだ。

 日刊ゲンダイの病院関係者への取材では、その場にいた家族とおぼしき女性とともに悪態をついて暴れ、病院側が警察に通報すると、その場から逃げるように立ち去ったというから悪質だ。警察沙汰になったにもかかわらず、球団に報告することなく、およそ1週間、練習に参加。さらに懲りないことに、4日後の15日には自身の「誕生日会」なる飲み会に、何食わぬ顔で出席していたことも本紙の取材で分かっている。

 この日、川崎市のジャイアンツ球場では、遠征に帯同しなかった投手の練習と三軍の試合が行われたが、山口俊は姿を見せなかった。球団によると、練習を自粛しているという。

■ミスターは「巨人軍たるもの、ああいうことはしてはいけない」

 そこで日刊ゲンダイ記者が都内の自宅に向かうと、高級住宅街にある3階建ての一軒家はひっそりと静まり返っていた。記者の姿を見つけた球団広報部員は「山口は自宅では対応しないと言っていますので」。自宅で“蟄居”しているとみられるが、日刊ゲンダイの既報通り、扉などの設備を壊された病院と暴行された警備員からは被害届が出されており、この日になって警視庁が傷害と器物損壊の疑いで捜査を開始したことも明らかになった。

 今季加入のFA入団選手の蛮行に、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(81)も呆れるしかない。都市対抗野球観戦のために訪れた東京ドームで、「新聞で今朝初めて知って驚いている。巨人軍たるもの、ああいうことはしてはいけない。何があったか分からないが、まずいことだよな」と苦言を呈したが、そのミスターが監督だった2000年に似たような事件があった。

 ダイエーの王監督とのON対決で沸いたこの年の日本シリーズ直前、宮崎で行われた巨人の合宿で、当時の一軍控え捕手が、市内の飲食店で居合わせた女性と一緒に酒を飲んだ際に体を触り、酔って女性の頭を靴で殴打したとして「強制わいせつ致傷」で逮捕されたのだ。控え捕手は解雇。その後に示談が成立したため、不起訴となったものの、以降、控え捕手が球団に復帰することは、もちろんなかった。

■球団取締役は「コンプライアンスの鬼」

 山口俊はこれからどうなるのか。周辺では「長期謹慎から涙の復帰会見の流れではないか」とみるムキがある。が、「そんなもので済むかどうか」とさるチーム関係者がこう言った。

「今回も示談に持ち込むべく、関係者が奔走するのは間違いない。ただ、親会社の読売と巨人の幹部が今、最も重視しているのはコンプライアンスです。巨人の選手が野球賭博という球界を巻き込む未曾有の不祥事を起こしたことで、チーム内に周知徹底されたはずだった。それだけに上層部は怒っている。実質、巨人を動かしているといわれる球団取締役の山口寿一・読売新聞グループ本社社長は別名『コンプライアンスの鬼』。先月、球団社長に就任したばかりの石井一夫氏も、コンプライアンスを徹底するために読売から送り込まれたともっぱらです。もし違反した場合は『厳罰も辞さず』が幹部の方針なのです。そもそも山口俊はこれまで1勝1敗の投手。戦力として3年総額7億円もの価値があるのか。疑問視する声も上がっています」

 山口俊が抹消されたこの日、ドラフト2位ルーキー畠世周(23=近大)が先発。八回途中7安打2失点の好投でプロ初勝利を挙げた。ますます酒乱FA投手の存在意義は薄れるというものだ。

 これだけの騒動を起こしておいて、「三顧の礼をもって迎えたFA選手だから」と生ぬるい処分でお茶を濁すようなら、球団の姿勢が疑われる。自由契約という事実上の「クビ」の可能性も十分ある。