これが大記録を達成した横綱の相撲なのか。

 12日目の玉鷲(32)戦に勝利し、魁皇(現浅香山親方)の持つ歴代1位の通算1047勝に並んだ横綱白鵬(32)。記念すべきこの日の相撲はしかし、とても褒められたものではなかった。立ち合いで左の張り、右のかち上げと普段通りの荒っぽい相撲を仕掛けると、「勝てば何でもいいんだ」と言わんばかりに左右のワンツービンタ。玉鷲を流血させた末に、最後は寄り切った。

 好角家の菅野宏三氏(ビジネス評論家)は「『これが横綱だ』というものが何もない、ひどい相撲でした」と、こう続ける。

「確かに玉鷲は勢いのある力士だし、前日に土がついた白鵬も連敗したくなかったのでしょう。ただ、そうだとしても受けて立つのが横綱の相撲じゃないですか。この日の相撲は、まるでボクシングですよ。そもそも、横綱とは数字だけでは語れない存在のはず。かつて大横綱と呼ばれた人たちは、王道の横綱相撲を取っていたからこそ尊敬された。土俵上でムキになって相手にビンタなんて、少なくとも大鵬はやらなかった。白鵬は大鵬を尊敬していると言っているようですが、ならば相撲の取り口自体も見習ってほしいものです」

 かつての白鵬は、盤石の横綱相撲を取っていた。それが体力の衰えと共に、相撲内容も下品に。立ち合いのエルボー、張り差しなど、「勝てば官軍」と言わんばかり。ダメ押しが問題になったことも数え切れない。

 粗暴な取り口に閉口したのか、中継するNHKのアナウンサーでさえ、「横綱の相撲というものもありますが……」と言いかけ、その後の言葉をのみ込んだほどだ。

 支度部屋では、「昨年はケガで苦しんだ時期もあった。うれしさがひと味もふた味も違う」と話した白鵬。この日、これまで消極的だった日本国籍取得にも前向きになっていることが明らかになったが、親方になっても汚い相撲を弟子に叩き込むことになりそうだ。