言葉に詰まった。久しぶりのお立ち台。いろいろな思いがあるのでは? と聞かれ、しばしの沈黙ののち、「……そうですね」と絞り出した。

 楽天の久保が、23日のオリックス戦で実に1040日ぶりの勝利投手に。九回に登板して三者凡退に片づけると、その裏にアマダーのサヨナラ本塁打が飛び出した。

 2002年にドラフト自由枠で巨人に入団。先発、中継ぎとなんでもこなし、11年には守護神として20セーブを挙げた。年俸は1億5000万円にまで昇給。なくてはならない存在になったが、11年に股関節手術、12年に肘靱帯再建手術に踏み切ると、巨人はシビアだった。14年に48試合登板と復活しながら、15年は一軍登板ゼロ。オフに戦力外通告を受け、DeNAに拾われたものの、そのDeNAにも1年でクビを切られた。

「実績のない若手に交じってトライアウトを受けたが、欲しいと手を挙げる球団は現れない。そこで、久保が頼ったのが楽天の星野仙一副会長でした。星野副会長と直接連絡できるような付き合いはなかったが、2人には共通の知り合いがいた。久保はワラをもつかむ思いで、その知人を通じて現役続行の強い気持ちを伝え、春季キャンプで入団テストの機会をつくってもらったのです」(球界関係者)

 2度の手術を経験したとはいえ、久保のスタミナ、タフネスさは巨人時代から折り紙つき。もともと、敗戦処理でも連投でも、四の五の言わずに投げる性格でもある。契約すれば、“拾ってくれた星野さんのために、チームのために”と意気に感じて投げるのは間違いない。星野副会長にもそんな計算が働いたろう。大方の予想に反してテストに合格した久保は13試合に登板して防御率2・60。パ首位チームの「なんでも屋」として存在感を発揮し始めている。

 お立ち台で、「野球をやれる環境を与えてくれた球団に感謝している。その感謝をプレーで返したい」と口にした久保の年俸は600万円。星野副会長は、“安い買い物だ”と笑っていそうだ。