「清宮さんはあれだけ注目されているのに、接しやすくて向こうからもよく声をかけてくれます。野球よりも、日常生活で相談に乗ってもらうこともあって、とても優しい先輩です。早くプロに入って活躍してほしいと思っています」

 25日、日本学園を破って2年ぶりにベスト4進出を決めた早実の清宮幸太郎(3年)についてこう言うのは、後輩の野球部員のひとりだ。

 早実は卒業生の約97%が早大に進学する。野球部員もしかり。早実から直接プロ入りしたのは1983年の板倉賢司(大洋ドラフト3位)、上福元勤(巨人ドラフト6位)が最後だ。

 にもかかわらず、身近な野球部員が「進学でなくプロに入ってほしい」と言うのは、技術面はもちろん、人間的にも即プロでやっていけるくらいの懐の深さを持ち合わせているからではないか。

■本塁打ではなくつなぎのバッティング

 この日の試合前はナインに、準々決勝で敗れた昨夏をあえて思い出させる言葉をナインにかけた。

「昨年の負けた後、空虚感というか、抜け落ちた感じになって。あの感じはもう嫌でしょと。ここで(負けて)親御さんに挨拶するのもバカみたいだよなという話はしました」

 ナインの気持ちを引き締める一方、前日には昨秋の東京大会で優勝したときの映像を何人かで見たエピソードも明かした。「そのときの優勝インタビューの映像を見て、『後ろにつなぐ』と言っていた。みんな後ろにつなぐ意識が強かった」と話し、自身も期待される本塁打ではなく、つなぎのバッティングに徹していた。

 本塁打は出なくても、プロ側の株はまた上がったに違いない。