なでしこジャパンが27日から戦う「トーナメント オブ ネーションズ」の初戦(ブラジル代表戦)が行われる米国シアトルで奮闘している選手がいる。FW川澄奈穂美(31)である。

 優勝した2011年ドイツ女子W杯から、なでしこジャパンの攻撃力を担ってきた。16年6月、INAC神戸から米国女子サッカーリーグ(NWSL)のシアトル・レインに完全移籍。今季のシアトルは多彩な攻撃力でリーグ最多ゴールを量産し、現在は3位につけている。

 米国代表のスター選手であるFWラピノーの得点力の高さは言うまでもないが、シアトルの攻撃に川澄は欠かせない。

 第15節(22日)、5位のシアトルは3位のスカイブルーをホームに迎えた。先制したシアトルは怒涛の4ゴールを奪取した後、まさかの4連続失点。87分にFWラピノーが決勝弾を叩き込んで激戦を制した。川澄は3トップの右でフル出場。逆サイドのラピノーと好連係を見せ、INACでともにプレーしたFWヤネズのゴールアシストと大活躍。あらゆる攻撃局面に顔をのぞかせていた。

 チャレンジャーの塊のような川澄には、日本で培ってきた確かな技術と素早い判断力がある。さらに研ぎ澄まされ、それが川澄のプレーを押し上げた。

「絶妙なベテランっぽさ、出せてましたか?」

 試合後の川澄は笑みを浮かべながら、充実した表情を見せた。

「ここ(米国)では、常にチャレンジャーの姿勢を前面に出していかないとダメなんです」と話す川澄。時折ピッチで見せる“ベテラン的な”プレーが小粋に映る。

「ラピノーは『ワタシが行く!』という、いわゆるアメリカスタイル。誰かが“状況判断”しないといけない。それを私が加えることでチームはさらに強くなれる」

 アメリカ代表のエースを“使いこなし”ながら自分自身も輝く。持ち味は変えず、それでも変化を遂げようとするたくましい川澄の姿がシアトルにあった。なでしこジャパンに彼女の力が必要となるのも、そう遠い日ではないかも知れない――。
(フォトジャーナリスト・早草紀子)