両球団が合意に達したのはトレード期限(日本時間1日午前5時)の1分前だったという。

 レンジャーズのダルビッシュ有(30)が、若手3選手との交換でドジャースに移籍。レンジャーズとドジャースの間では交換要員をめぐって、激しい攻防があったといわれる。

 レンジャーズにしてみれば、実績あるエースを放出するのだから、それなりの見返りを求めるのは当然。しかし、“商談”がここまで数週間にわたってもつれたのは、レンジャーズ側の事情によるところが大きい。

「レンジャーズはそもそも、ダルを放出すべきかどうか逡巡していた。ダルに対する球団内部の評価は、意外なほど低いものだったのです」と、西海岸の代理人関係者がこう続ける。

「ダルはクラブハウス内で入念にトレーニングや体の手入れをします。それ自体は好ましいことであっても、そのためにトレーナーや裏方を含め、たくさんのスタッフが必要になる。しかも、連日です。つまりダルのコンディションを維持するために、ケタ違いの労力が必要になるのです。フロントや首脳陣は割に合わないどころか、チームにとって、むしろダメージになると判断しています。さらに起用法や調整をめぐって、バニスター監督やブロケイル投手コーチとの関係は必ずしも良好ではなかったと聞きました。レンジャーズがこのオフ、今季限りで契約が切れるダルと再契約を結ぶかもしれないというのもあくまでウワサにすぎない。レンジャーズは再契約に関して、むしろ後ろ向きだといいます」

 手がかかるし、首脳陣ともしっくりいっていないのであれば、プレーオフ進出が絶望的になった時点でチームに置いておく意味がない。さっさと放出すればよさそうなものだが、そうもいかない理由があったという。再び前出の関係者の話。

「日本ハムの大谷翔平ですよ。レンジャーズは本気で大谷を獲得したいと考えている。ダニエルズGMはわざわざ、右足首と左太ももの故障で二軍調整中の大谷を視察するために千葉の鎌ケ谷まで足を運んだほど。ケガで満足に動けない状態の大谷をGMが直々にチェックしたのはレンジャーズくらいでしょう。そこまで本腰を入れているのに、ここでダルを放出してしまったら大谷がレンジャーズに対して悪いイメージを抱きかねない。エースといえども、トレードで売り払うシビアな球団という印象をもたれたくなかったのです。まして大谷は、かつてダルが所属していた日本ハムの選手。オフには一緒にトレーニングをする間柄だといいますからね」

■オフの再契約は明言せず

 ダルは売り飛ばしたくても、大谷には嫌われたくない。そんな事情があるからこそ、ダルをすんなりと放出するわけにはいかなかったのだ。

 7月26日、前回登板のマーリンズ戦は自己ワーストの10失点KO。その直後、米国人記者がツイッターで「マーリンズは投げる球種がわかっていた」とつぶやき、投球時のクセがバレていたことが原因だと指摘したが、「レンジャーズサイドの情報操作ではないか」とみるのは、西海岸の球団のあるスカウトだ。

「ダルは登板後、トレード話が原因でボコボコにされたとコメントしています。もちろん冗談でしょうけど、トレードで世間を騒がせていることが原因でダルが力を発揮できなかったとなれば、レンジャーズにとってマイナスイメージになりかねない。負の印象を打ち消すためにも、レンジャーズはクセの話をでっち上げたのではないか。ある人がマーリンズサイドに探りを入れたところ、選手はだれひとりとしてダルのクセを把握してなかったそうですから」

 要するに、レンジャーズはトレードによって選手をスポイルする球団というイメージをもたれたくないようなのだ。

 トレード成立後、レンジャーズのダニエルズGMは、「難しい決断だった。障害を乗り越える努力をしてくれたことに感謝している。米国の野球に順応し、高いパフォーマンスを見せてくれた」とコメントしながらも、オフの再契約については「そうなるかもしれないが、いまの時期にオフのプランを明確にすることはできない」と明言しなかった。

 結果としてダル放出に踏み切った事実は、果たして大谷獲得に影響するのかどうか。

 なお、ドジャースのロバーツ監督はダルの登板日程を発表。2日(日本時間3日)にブルペンで投球練習を行い、4日(同5日)のメッツ戦(ニューヨーク)に移籍後初登板する。