【WGCブリヂストン招待】

 まるでパットの名手だった。

 世界ゴルフ選手権(WGC)ブリヂストン招待の最終日、首位に2打差の7アンダー、4位発進の松山英樹(25)は、1イーグル、7バーディーでコースレコードタイの61をマーク。通算16アンダーで今季3勝目(米ツアー通算5勝目)を挙げた。WBCシリーズは昨年10月のHSBCチャンピオンズに次ぐ2勝目となった。

 逆転劇ののろしは2番であがった。第2打をグリーン右奥ラフに外すも、ウエッジでピンまで約18メートルのアプローチを直接ねじ込んでチップインイーグル。3番2メートル、6番4.5メートル、9番3メートルとショットがピンに絡むと、ことごとくバーディーパットを決めて前半だけで5つスコアを伸ばしてターン。

 サンデーバック9に入っても勢いは止まらず、13番で3メートルのバーディーパットを沈めると、「モンスター」の愛称で知られる16番(667ヤード・パー5)から圧巻の3連続バーディーを決めた。終わってみれば2位に5打差をつける圧勝だった。

 かねて松山の欠点に挙げられていたのがパッティングだった。6月の全米オープンは最終日の猛攻で2位まで順位を上げたが、3日目は1ピン以内のパットが入らず苦戦していた。グリーン上でパットが入ったり、入らなかったりの日替わりだった。

 それが、今大会は別人のようにパットを入れまくった。

 理由のひとつは新パターの投入がある。

 今大会はエースパターのピンタイプではなく、火曜日に手元に届いたマレットタイプだった。慣性モーメントが高く、直進性に優れており「予選落ちがないから使ってみた」ところタッチがピタリと合っていた。

 だが、新パターを手にしたからといって本人も勝利を確信していたわけではない。

「スタート前はパープレーなら最高だな、という状態だった。いつ曲がって、いつとんでもないミスするのか不安で不安で仕方なかった」

 松山は慎重な性格で知られ、常にミスを恐れながらラウンドしている。「ショット、アプローチ、パットともだいぶ調子は上向いているが、それでも不安はある」と神経質すぎるほどだ。

 そんな慎重さも最終日の好スコアにつながったともいえる。

■平均パット数は4日間ベスト

 最終日のベストスコア61は、ボギー数を初めてゼロに抑えた。フェアウエーキープ率こそ50%だが、パーオンを逃したのは2ホールだけ。平均パット数1.438も4日間のベストだった。

 もっとも日本人最高の世界ランク2位の実績があり、米ツアートップクラスの実力の持ち主だ。ポイントランキングでも再び首位に返り咲き、来週開幕する、今季メジャー最終戦の全米プロゴルフ選手権(10日開幕・米ノースカロライナ州・クエール・ホローC)にも弾みがつく。

「これまでに何人もの日本人が全米プロ優勝にチャレンジして、タイトルが取れなかった。来週もいいプレーをして勝ちたい」と言った松山。日本人初のメジャー制覇がまた一歩近づいたか。