【全米プロゴルフ 2日目】

 大会2日目は日没サスペンデッドになり、1アンダー15位タイ発進の松山英樹(25)が、首位タイに並んだ。

 午前組のケビン・キスナー(33)が2日連続の67で回り、通算8アンダーでホールアウトして首位の座をキープ。その時点で7打差もあった。

 松山は午後0時55分にアウト発進。1番はいきなりティーショットを左に大きく曲げるトラブル。それでも2打目をフェアウエーに運ぶと、3打目はピンそば1メートルにつけてパーセーブ。

 この日はフィニッシュが決まらずに、不安を抱えてのラウンドにも見えた。それでも手堅くパーを拾い続けて、5番2メートル、7番1.5メートルのバーディーパットを決めて3アンダー。前半は9番がピンチだった。

 フェアウエーからの2打目をグリーン右奥へ外すと、ロブショットはピンを7メートルもオーバー。このパーパットを先週から使うマレット型パターでカップに放り込んだ。

 折り返してからは12番からの3連続バーディーを奪い、一気にトップと2打差の2位まで上昇。

 続く15番はティーショットが左サイドの木に当たり、左ラフ。その時点で雷雨接近による中断になった。

 再開後は2オンこそ逃すも、アプローチをピンそば50センチによせて4連続バーディーと勢いが止まらない。首位キスナーと1打差。17番でも1.5メートルを沈めてついに首位タイに並んだ。

■地味なペアリング

 前週のWGCブリヂストン招待最終日にT・ウッズのコースレコードに並ぶ61をマークして、見事な逆転勝ちを演じ、今週は優勝候補の筆頭に挙げられた。注目選手になればペアリングも豪華な顔ぶれになるはずだが、予選2日間はE・エルス、I・ポールターの2人と地味だった。

 今季メジャー覇者がそろったS・ガルシア(マスターズ)、B・ケプカ(全米オープン)、J・スピース(全英オープン)組がもっとも注目されたが、R・ファウラーやJ・ラームらメジャー初優勝が期待される若手の組に松山が入ってもよかった。世界ランク3位ならD・ジョンソン(1位)やR・マキロイ(4位)と一緒でも見劣りしない。

 エルスはメジャー4勝の実力者ではあるが、すでに47歳になり世界ランク419位と力の衰えは明らか。41歳のポールターは同63位とはいえ米ツアーでは2勝。なぜ、そんなペアリングになったのか?

 ちなみに今年のマスターズではファウラー、R・ノックスと同組。全米オープンはファウラー、ラーム。全英オープンは欧州ツアー賞金トップのT・フリートウッドと全米オープンV直後のケプカと注目度は高かった。

 米ゴルフ事情に詳しい吉川英三郎氏はこう解説する。

「全米プロゴルフ協会(PGA・オブ・アメリカ)が主催する全米プロは、ほかのメジャーに比べて人気がない。しかしPGAツアーにはメジャーの開催権がなく、全米プロは1916年から99回開催という伝統と誇りがある。だからこそ人気の米国人プロが勝って大会を盛り上げてもらい放映権料アップにつなげたいという思惑があります。そんなこともあって松山は目立たない組に入れられたのでしょう」

 全米プロゴルフ協会はクラブプロの団体であり、CBSと契約して放映権料を得ている。

 協会の2015年収入によると放映権料(全米プロ、ライダーカップ、全米シニアプロ)が1億1405万ドル(約125億4550万円)、ビジネス開発部門1915万ドル(約21億650万円)、メンバー会費240万ドル(2億6400万円)、ゴルフ場運営1635万ドル(約17億9850万円)の1億6345万ドル(約179億7950万円)。つまり収入の7割近くを放映権料が占めている。

「世界中にゴルフを普及させたい全米ゴルフ協会(USGA)や全英ゴルフ協会(R&A)、さらにマスターズ委員会も露骨に米国人プロをひいきにすることはできないのですが、米国のプロゴルファー団体の主催競技ということもあって人気のある米国人プロ優先の組み合わせになったのです」(前出の吉川氏)

 松山がメジャー初優勝に近づき、思惑が外れた全米プロゴルフ協会は困っているはずだ。