【メジャーリーグ通信】

 大リーグのレギュラーシーズンは現地時間27日に終わり、29日にアメリカン・リーグ、30日からはナショナル・リーグのプレーオフが始まる。

 コミッショナーのロブ・マンフレッドが、レギュラーシーズンを無観客で行ってきたことを改め、ナ・リーグの優勝決定シリーズとワールド・シリーズを有観客で行う方針を示したことは、誰も経験したことのない環境の中で試合を行ってきた選手たちにとって朗報といえよう。

 ところで、大リーグ機構が公表した資料によれば、2019年の大リーグの収入の内訳は「入場料および球場での販売収入」が39%、「全国放送の放映権料」が25%、「地域放送の放映権料」が22%、「スポンサー収入」が11%、「その他」が4%となっている。無観客で試合を行うことの問題は大きく、各球団は試合ごとの入場券の販売ができないだけでなく、代金が振り込まれている年間予約券の所有者を球場に入れることもできなかった。

 そのため、各球団は販売済みの入場券について来季への振り替えなどの措置をとったものの、今季の入場料収入と飲食物や関連商品の売り上げの落ち込みは避けられない。

 実際、シーズン開幕前の経営者側の試算では、無観客の場合の損失は1試合当たり64万ドル(約6800万円)とされている。

 また来季についてもたとえ早期にワクチンが実用化されたとしても、どの程度まで観客を入場させられるかは推測の域を出ない。何より米国経済そのものの先行きが楽観視を許さないだけに、これまでのような高額な入場料は、いずれ見直しを迫られかねない。このように考えれば、球団の経営は苦しいものと思われるだろう。

 だが、今季は球団の支出の半分以上を占める選手の年俸が試合数に比例する形で削減されているし、米国の大手法律事務所モルガン・ルイス&バッキアスが指摘するように、個別の事例の確認が必要なものの、各球団は契約している保険によって削減された試合の売り上げの補填を受けることが見込まれる。

 現在の大リーグは球団を投資の対象とする考えが主流となっている。この15年間に限っても、経営の手腕を問わなければ、高値であっても資産価値が下落していても、球団の購入に名乗りを上げる個人や集団は複数現れてきたし、今後も登場する。

 何より経営が苦しくなる予想のみを強調する一方で、どの球団も詳細な会計資料を開示していない点は、球団経営が部外者には知られたくないほどに一般に考えられている以上に大きな利益をもたらしていることを示唆している。

 その意味で、経営者の口から発せられる悲観的な情報は、現実を反映しているというよりは、真実の姿を見せないための覆いの一種なのである。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)