【メダリストが明かす東京五輪舞台裏】#18

 並木月海(2)
 (23歳、ボクシング女子フライ級、銅メダル/自衛隊体育学校)

 ◇  ◇  ◇

 女子ボクシングは発展途上。日本は特にそれが顕著で、いわゆるマイナースポーツに甘んじている。なぜなのか。

■「どれだけ注目を維持できるか」

「やっぱり女子ボクシングの試合を見る機会が少ないことが一番かなと思います。試合で海外に行ったとき、現地のテレビをつけると普通に試合が見られるけど、日本ではそうはなっていない。もっと試合を気軽に見てもらえるようなきっかけを(国内で)つくってもらえたらと思っています。今は私たち選手が海外で結果を出すことで、注目をどれだけ維持できるかにかかっていると思う」

 東京五輪が幕を閉じ、各競技団体に投じられてきた資金も減額が予想される。国内ではマイナー競技とされるアマボクシングもそのひとつだ。

「コロナ禍でも各地の方が合宿を受け入れてくださったことで、一般の人がボクシングに触れる機会も多かった。五輪の熱が収まってくると、そういう交流も減ってしまう現実がある。コロナ禍なので無理は言えないけど、もう一回お世話になったところには感謝の気持ちを伝えたいし、そこでもっとボクシングの楽しさを知ってもらいたい」

 選手村の土産物店でも海外と国内の温度差を感じる瞬間があったという。

「最初、お土産屋さんに行ったときはボクシングのグッズがいっぱいあった。日本では(五輪競技としての)知名度がそんなに高くないから、次に来たときに買えればいいかと思っていたら、次行ったときにはもうなかったんです……。海外の方には人気だったみたいで、日本の感覚でいたらダメだなと。結局、ボクシングのグッズは何も買えませんでした」

 選手村ではどの五輪大会でも人気なのが理髪店だ。

「前髪が伸びていたので切ろうか悩んでいたんですけど、もし切られ過ぎて失敗したらどうしよう、大丈夫かなあと不安になって入れませんでした。変な前髪になって試合に集中できなくなったら良くないので。結局、自分でちょっとだけ切ったんですけど、あんまり変わらなかった(笑い)」

■試合後にピザを食べ「おいしい〜」

 ボクシングには厳しい減量がつきもの。選手村の食堂はビュッフェ形式で世界各国の料理が並ぶが、食事制限中の選手にとっては“目に毒”だ。

「試合が終わった後、我慢していたピザを食べたときはおいしい〜! と思いましたね。でも私は普段から減量もきつくない方なので、しっかり食べてという感じ。今回はうどんを食べていることが多かったかな。4年前、オリンピックを目指すと覚悟を決めてからは節制もしっかりして、今は体重も気にせず調整できるようになりました」

 五輪を目指すきっかけとなったのは、矢田圭一コーチとの出会いだった。 =つづく