<お悩み解決!ひふみんの金言>

 「ひふみん」こと、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が、あなたのお悩み相談に答えます。

 14歳でプロになり、昨年6月に引退するまで63年間、勝負の世界に身を置いてきました。敬虔(けいけん)なキリスト教徒として30歳で、洗礼も受けています。生きる厳しさと、聖書の教えをベースに、指導対局ならぬ、人生指南をしてくれます。毎週水曜日に掲載します。

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 <質問> 大きなプレゼンテーションを控えています。大型受注をもらえるかどうかは私にかかっていますが、人前で話すのが苦手で多くの人を見ただけで緊張してしまいます。「本番に強い」加藤先生、あがらずに、うまくプレゼンする方法を教えてください。(28歳 会社員 東京都)

 <回答> まずはきちんと準備してください。プレゼンの内容を反すうして、「自分がこれから話すことはすばらしい」と確認します。人前で話す時は、「元気いっぱい勇気を持って、ハッキリ感じよく」。

 私が42歳で将棋の名人のタイトルを取った時のことです。時の名人であった中原誠先生に挑戦しました。旧約聖書の「戦うときは勇気を持って戦え。相手の面前で弱気を出してはいけない。慌てないで、落ち着いて戦え」という言葉を対局中、何度も思い出していました。

 ライバルのやることなすことが優れて見えて、気後れしがちになるかも知れません。だから、準備も必要なのです。質問に対する想定問答も用意しておいて。私も対局で相手の指し手を読む時は、5通りは読んでいました。

 そうそう旧約聖書の中で、羊飼いのダビデという少年が、ゴリアテという大男との戦いに勝った時のことです。ダビデは石投げを得意としており、ライオンやクマも倒していました。それを生かして、ゴリアテの額に石を打ち込み、倒れたところで駆け寄って切り付けました。それこそ、戦い方を決めていたからこその勝利です。自分なりに考え、周りの人の協力も得て、仕事をもらってください。

 それから、私は通算2505回対局しておりますが、1度も負けると思って臨んだことはありません。これは胸を張って言えることです。「勝つ」という気構えを持つことが大切です。