千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件で、わいせつ目的略取・誘拐、強制わいせつ致死、殺人、死体遺棄の罪に問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判第7回公判が13日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で開かれ、事件当日に渋谷被告と会話したという元妻の中国籍女性(35)やリンさんが通う小学校の校長らが出廷し、事件当日の渋谷被告との会話内容などについて、証言した。

 検察側尋問で元妻は事件当日の17年3月24日、午前4時45分ごろに自宅から勤務先から出勤したと説明。職場から帰宅した午後1時〜2時ごろ、渋谷被告が不在だったため、長女に何か聞いていないか問うと、長女から「『話し合いがある』と言って出かけた」と聞いたと証言した。

 警察の証拠捏造(ねつぞう)の可能性に言及し無罪を主張している弁護側は、長女から「話し合い」と聞いたという元妻の証言をめぐり、長女の事件当時の学年を元妻から「小学1年生」と確認した。元妻が同日午後10時ごろと証言した被告の帰宅時間についても「正確か」と再確認し、元妻は「はっきり覚えていない」と証言。小学1年生だった長女の発言部分を含む元妻の証言や、当日の記憶の正確性などを確認する質問を続けた。

 事件当日の渋谷被告の言動については、リンさんが通っていた六実第2小の当時の校長も証人として出廷。校長は、リンさんの行方が分からなくなった事件当日、地域への連絡の相談のため、保護者会長だった渋谷被告の携帯に午後1時過ぎから複数回かけたが、連絡がつかなかったと証言。渋谷被告と連絡が取れたのは同日午後5時25分と午後7時で、いずれかの通話の際に、この日朝の通学路の見守り活動に渋谷被告が来なかった理由を問うと、渋谷被告が「母親の介護のため」と説明していたと話した。

 事件当日午後2時から松戸東署で開かれた少年補導関係の研修会を主催した補導員男性も証人として出廷。この研修会に参加予定だった渋谷被告から、同日午後0時13分と午後1時20分過ぎに電話の着信があり、折り返すと「すみません。行けなくなりました。ちょっと不幸ができまして」と説明していたと証言した。

 事件当日の渋谷被告の外出をめぐっては、弁護側が公判前整理の段階で「釣りの下見」と主張していたと、裁判長が初公判で確認している。

 これらの「説明」をめぐっては、「母親の介護」との説明について、裁判官が渋谷被告の実母が事件当日の時点で存命だったかを元妻に確認。元妻は「(事件当日以前に)亡くなっている」とした。元妻の母についても、検察側が事件当日に日本にいたかを元妻に確認。元妻は「(事件当日は)中国にいると思う」と証言した。