<全国高校野球選手権:智弁和歌山7−1明徳義塾>◇13日◇2回戦

明徳義塾(高知)には悪夢の7回表だった。左翼から右翼へ。甲子園の浜風と逆の風が、まさに逆風になった。

同点にされて1死一、二塁。智弁和歌山の2番細川凌平の一振りが右中間スタンドに消えた。5番根来塁には右翼に2ラン、6番東妻純平には中堅右にソロ本塁打を食った。

大会最年長63歳の馬淵史郎監督は一挙7失点を、残念そうに振り返った。

「あのへんが甲子園というかね。3本とも振り切ってないし、いつもの浜風ならライトフライとセンターフライやったでしょう。でも、まあ3発は付録みたいなもんでね…」。

140キロ以上の球を持つ投手はいない。1発がある野手もいない。昨夏から「練習試合で15敗した」(同監督)チームは、90年の監督就任以降“最弱”だった。それでも、2年生左腕新地智也が丁寧に低めを突き、バックは守った。5回には死球、送りバント、3番鈴木大照(2年)の中前打で先制点を奪う。馬淵監督は「6回までは高校野球ができた。力がのうても食らいつく。全国の球児の見本になる野球が」と言った。

強者を破るシナリオは、3発の前に破綻していた。古沢怜大中堅手(3年)が左中間の打球処理にもたつき、二塁打にした。小泉航大一塁手(3年)がエラー。同点にされた遊撃内野安打は2バウンド目が大きく跳ねた。イレギュラーだった。しかし、馬淵監督は厳しい。「米崎(薫暉遊撃手)は“しめた、併殺や”と思った。腰が浮いた。あそこで腰を落として構えとったら(さばけた)…。分が悪い時は、守りが完璧じゃなきゃ勝負にならん。甲子園で勝ちきるにはね。1イニングで(ミスが)3つも出たらいかん」−。

左腕新地は「1点勝ってる余裕が、相手の気持ちに負けた。智弁和歌山から圧力を感じた。1人1人の気持ちが伝わってきた」と号泣した。女房役の安田陸捕手(3年)は「7回は浮ついたボールが甘く入った。低めを徹底的に意識させないとダメでした。僕の責任です」と新地をかばった。

「僕が監督になって1番弱いチームやったけど、今の3年はみんな、いい指導者になれます」。独特な表現でメンバーをねぎらった馬淵監督の目が最後にギラついた。「まあ見とってください。勝負はまだこれからじゃから」−。新チームはこの日のスタメン中5人が残る。小粒だが、経験値は高い。枯れる気配が皆無の馬淵監督の下で、明徳義塾がまた“甲子園で勝つチーム”を目指す。