テニスの4大大会、ウィンブルドンが17日、閉幕した。日本選手は男子シングルスに3人、女子シングルスに5人が出場。錦織圭(27=日清食品)と大坂なおみ(19=日清食品)の3回戦が最高だった。特に錦織は、決して悪くない組み合わせだっただけに残念だった。

 錦織は、今年、不調だといわれる。ツアー優勝はなく、決勝進出が2回だけ。何が悪いのか。ウィンブルドンが終わった時点で、今年の試合統計と昨年のを比較した。項目は1試合平均のエースの数、ダブルフォールト(DF)の数、第1サーブ(S)の確率、第1、2サーブ(S)得点(P)奪取率、ブレークポイント(BP)の奪取率とセーブ率の7つだ。

 数字は次の通り。

 ▽16年 エース3・3本、DF2・3本、第1S61%、第1SP72%、第2SP55%、BP奪取43%、BPセーブ67%。

 ▽17年 3・3本、2・2本、63%、72%、52%、44%、65%

 実は、ほとんど変わってない。第1サーブの確率と、BPの奪取率が若干上がり、第2サーブの得点奪取率とBPのセーブ率が少し下がっているだけだ。数字からは何も問題はないように見える。

 しかし、この数字にはからくりがある。16年にトップ20と対戦した数は79試合中30試合(12勝18敗)。約38%だ。その内、トップ10とは半分以上の18試合(5勝13敗)を戦っている。17年は38試合中、トップ20とたった6試合(1勝5敗)で約18%。トップ10とは2回しか対戦がない。

 つまり、多くトップ選手と対戦した16年と、下位選手と対戦することが多い17年がほぼ同じ統計なのだ。上位と対戦すれば苦戦する。下位と対戦すれば、上位よりも楽に勝てる場合が多い。それなのに同じ統計というのは、下位選手に苦戦しているという証拠だ。

 この数字から読み取れないものもある。本当に大事な局面で、どのようになっているかだ。例えば、相手のサーブを2度ブレークし、その後、1回ブレークされても問題ない。しかし、全部サーブをキープし、4−5から、BPを1回落としただけで、セットを落とす。1回のブレークでも、意味は大きく違う。

 おしなべて言えば、決して悪い数字ではない。しかし、そこに隠されたものを読み解くことで、錦織の不調の原因が見えてくる。下位選手に手こずることが多くなり、その対戦で、本当に大事な局面で競り負ける。

 以前も、ケガや体力的な不安から防御心は働いていた。しかし、ひとたびコートに入ると、彼自身がよく使った言葉で「しばく」プレーで暴走することがたびたびあった。しかし、今は、暴走より防御心の方が上回っているのではないだろうか。もちろん、ケガをしたり、体力を消耗するのは避けたい。ただ、現在の負のスパイラル打破のためにも、また、暴走してみるのもいいと思う。【吉松忠弘】