<スポーツクライミング:世界選手権>◇第3日◇13日◇東京・エスフォルタアリーナ八王子◇ボルダリング男子決勝

今季ワールドカップ(W杯)男子ボルダリング総合王者の楢崎智亜(23)が、16年大会以来2大会ぶり2度目の優勝を果たした。

全4課題で2課題を攻略し、20年東京オリンピック(五輪)代表権が懸かる3種目「複合」に向け、好スタートを切った。女子は2完登だった野口啓代(30=ともにTEAM au)が2大会連続の銀メダルを獲得。他の日本勢は男子の藤井快が4位、土肥圭太が5位で、女子は野中生萌が5位、倉菜々子が6位だった。

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日本男子のエースが会場の約2000人を魅了した。高難易度の第1課題からただ1人だけ完登する“独走状態”を続け、「ここで決める」とした第3課題目で優勝を決めた。「世界最強クライマー」と呼ばれるアダム・オンドラ(チェコ)を撃破した楢崎は両手を力強く握って、喜びをかみしめた。「前大会は勢いだったけど、今回は実力で勝ち取った。(ボルダリングの)年間王者を取っている年の優勝でもあるので、大きな自信になった」。

年々、進化を遂げている。発達した広背筋と幼少期に始めた体操で培った柔軟性をいかしたダイナミックな動きを武器とし、170センチと小柄ながら海外では「忍者」とも呼ばれる。東京五輪での金メダルを目指し、今季は昨年まで行っていた筋力トレーニングをせずに「登り」のみで肉体改造に励んだ。壁を登る際の「感覚も重要。体の感度を上げるためにも登りで鍛えて得ることも多い」。苦手な課題克服のために徹底的に弱点を見直したことで、安定した成績を残せるようなった。

11日の予選前夜には今大会のことを考えすぎて「あまり寝られなかった」というが、予選後の12日夜は「爆睡」のおかげで絶好調だったという。2度目の世界王者のタイトルを獲得したが、今大会の最大の目標は複合で7位以内の日本勢最上位に入り、五輪代表権を獲得することだ。「喜ぶのも今日まで。気を緩めることなく突き進みたい」。笑みを浮かべながらも日本の“忍者”は21日の複合決勝をしっかりと見据えていた。【峯岸佑樹】

◆楢崎智亜(ならさき・ともあ)1996年(平8)6月22日、栃木県宇都宮市生まれ。小5からクライミングを始める。宇都宮北高卒業後にプロ転向。16年ボルダリング重慶大会でW杯初優勝。16、19年W杯同種目総合王者。弟明智も日本代表で活躍。170センチ