衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOが、テクノロジーを武器にファッションEC(電子商取引)の世界で新たな挑戦を続ける。ゾゾスーツの経験を生かして、靴や化粧品などでも顧客一人ひとりに合った商品を提供する。沢田宏太郎社長に激変するファッション業界での進路を聞いた。

■テクノロジー、強みを伸ばす

――社長就任から1年半、新型コロナウイルス下で業績を伸ばしました。

「アパレル業界では普段から洋服にあまりお金をかけない方々の需要は落ちています。一方で『ゾゾタウン』にはアパレル好きな人が集まっています。『食費を削ってでも服を買いたい』みたいな顧客から始まったようなサイトです。これが当社がコロナ下でも強かった要因だと思います」

「コロナの影響でアパレル各社がリアル店舗ではなかなか在庫が売れない時期に『とにかく売ってくれ』と商品が集まり、僕らも『頑張って売ります』と対応しました」

――前沢友作氏の後継として経営を担いました。社長自身はどんなことを心がけて経営をしてきたのでしょうか。

「かつてZOZOはカリスマのトップという存在自体が経営戦略でした。交代して私が何をするか考えたときに、『前沢の後は沢田です。だからこうします』ではないと直感したんです。僕はカリスマでも何でもない。だから人ではなく、言葉を会社の方針として据えたいと。『モアファッション』『ファッションテック』を経営戦略の最上位に位置づけ、よりどころにしようと声をかけました」

――ファッションテックの取り組みでは、前沢氏の時代の施策として、顧客が体形を自動で測れる「ゾゾスーツ」が注目されました。

「ゾゾスーツをやったことでテクノロジーの軸が芽生え始めました。強みになりつつあるなら、もっとやっていこうと考えたのです。一方ではファッション業界での当社の立ち位置はふわふわした状況になっていました。PB(プライベートブランド)をやるということはアパレルブランドになるのかといった見方もありました。当社としては今まで進んできた道を全うしようと発信しました。ファッション好きの顧客が多く集まる場という立ち位置です」

――前沢氏のころと比べて社内コミュニケーションの方法は変化しましたか。

「以前はトップが各部門長と個別にコミュニケーションしていて、『縦』はあったけど『横』が弱かったのです。そこで横のつながりを意識した会議体を多くつくりました。リモート会議もプラスに働きました。人数が多くても気にならないという利点があります」

「去年から、社員の提案で社内ラジオを始めました。『笑っていいとも!』形式で、社員が次から次へと来て僕と話をするのです。みんなに仕事の息抜き程度に聞いて、という立て付け。僕の人となりが、じわじわ伝わる仕組みです」