アース製薬の原島理さん(36)は、大手ドラッグストアや総合スーパーの首都圏店舗に殺虫剤「アースジェット」などを売り込む営業部署のリーダーだ。天候や販売データに基づく提案を徹底し、店舗従業員も味方にして売り場づくりを支える。社内では部署内のチームワークを重視し、異なる強みを持つ担当者が取引先の状況に合わせてアプローチできる体制を整える。

アース製薬が主力商品とする殺虫剤や防虫剤は、夏場に売り上げのピークができる季節性がある。さらに地域の特性や天候によって需要が増減し、売れ筋も変わる。店ごとに最適な品ぞろえで売り上げを伸ばすには、商品構成や仕入れ、在庫の量などにきめ細かな見直しが欠かせない。

消費者の立場からみると、殺虫剤や防虫剤は他の日用品に比べて、売り場に来てから商品選びに時間をかける傾向がある。どんな害虫に効いて、自分の家庭ではどのように使えるか、説明を読みながら購入を迷う人は多い。

原島さんは「開発者の狙いや他社製品と違うセールスポイントを伝えられるかが決め手になる」と話す。店に合わせて即効性などの特徴を掲げた店頭販促(POP)を自作していくこともある。

■大雨の後には新たな需要

売り場づくりは見た目だけにとどまらない。消費者が迷ったとき、頼りにするのは店舗スタッフだ。原島さんは売り場を訪問した際、店頭で働く取引先従業員との関係づくりにも気を配る。以前に担当したドラッグストアでは、仕入れ担当者に加えて販売スタッフにも各商品の特長について説明を続け、来店客のとっさの質問に答えてもらえるようにした。

売り場や消費者と近づくことで、商品開発に貢献できることもある。例えば入浴剤「温包」は、箱を横に並べて売ることを想定したデザインで売り出したが、商品棚を効率的に使いたい店の声を営業担当者がつかみ、2020年から縦置きの陳列にも対応できるデザインに変えた。