「デザインの世界には、ビジネスマンが日々の仕事の中で新たな価値を創るためのノウハウがたくさん存在しています」。日本でのデザイン思考の第一人者といわれる佐宗邦威氏はこう言います。先ごろ大幅に加筆修正して文庫化された同氏の著書『世界のトップデザインスクールが教えるデザイン思考の授業』(日経ビジネス人文庫)から、デザイン思考の入り口となる思考法を紹介します。

■ゲームのルールの前提を壊すことで新たなアイデアを生む

既存のビジネスを壊すような飛躍した大きなアイデアを、いきなり自分だけで出すのは難しいことです。それは、無意識に今の常識を前提として置いてしまっているためです。

当たり前を壊せるアイデア出しの方法はないものでしょうか。

たとえば、「新たな義務教育サービスのモデルを考える」という課題があったとします。

まずは、既存の義務教育で暗黙のうちに信じられているルール=神話をいくつか書き出します。「少人数制のクラスは教育効果が高い」「教室のような場からオンラインの学びの場へ移る」「教育の効果は教える先生の能力と比例する」「教育は、優秀な先生によってなされるのが肝である」など。

次に、それぞれの神話の逆を書き出します。「大人数のクラスで効果的な教育がある」「教室の場がより大事になる教育サービス」「先生がいなくても成立する教育サービス」など。