ライフネット生命保険社長の森亮介さんはインターネット専業保険会社の草分けでもある同社を創業した岩瀬大輔さんから34歳の若さでトップを引き継ぎました。猛スピードで成長した自身の過去について「仕事を与えた上司の気持ちになる」「自分が成長する時間軸を短くする」のが要因だったと振り返ります。新型コロナウイルスの感染拡大で経済や社会は激変しましたが、活躍できるビジネスパーソンの条件は変わりません。ネットメディア「Voicy」が配信するニュース番組「ヤング日経」のパーソナリティー、大塚美幸さんが森さんに聞きました。

――森さんとライフネット生命を紹介してください。

「子ども2人の父親で、家族と仕事を両立しながら頑張っています。いま代表を務めているライフネット生命はオンラインの生命保険会社のリーディングカンパニーを自負しています。『正直に』『分かりやすく』『安く』『便利に』という4つの価値を金融商品に込め、お客様に届けたいと考えています。生命保険は長らくプロが売る商品でしたが、ネットの発展で生活者が買えるようになりました。売るモノを買うモノに変革してきたのが、根っこで取り組んでいる大きなチャレンジです」

■自分の限界を知る

――社会人1年目に多くの失敗をしたと聞いています。

「失敗談は人に負けないくらい持っていますよ。社会人1年目は外資系証券会社でキャリアを始めました。とにかく先輩に追いつきたいとの考えで、先輩が少しでも楽に仕事できるように、彼らを支えるんだと思って仕事をしていました。幸せなことに、同時に複数のプロジェクトに参加させてくれました。限界を知りたいと思い、たくさんの仕事を引き受けていたのですが、結果的に仕事が回らなくなり、先輩に助けていただくようなことになってしまったのです。本来とは逆の方向になってしまい、先輩が私のヘルプに入るなど、逆ところてん式になってしまいました。トップの方ですら自分の業務に集中できなくなってしまう事態を招いてしまったのです」

「2度とこういうことを引き起こさないようにするという教訓と同時に、自分の限界を知れたのは良かったと前向きに捉えました。どう仕事を引き受けたら困らせないのかや、事前に先輩に期待値のコントロールをするにはどうすべきかなどを意識するようになったのが、最も思い出される大きな失敗ですね」

――失敗を通じて何を学びましたか。

「皆さんもチームで仕事をするのがほとんどかと思います。当時の私は一番下でしたが、下の人間でも先輩を通じてプロジェクトの成否に影響を与えているという実感を持つことが大事なのではないでしょうか。自分は面白い仕事をさせてもらえない、手柄も先輩が持っていくと思うと、仕事は面白くなく、学ぶことは少ないでしょう。絶対にそんなことはなく、上司を楽にさせているとか、上司を通してクライアントと相対していると思うのは自由なので、こうしたオーナーシップ(自発性)は非常に大事だと思います」