はやぶさを打ち上げたM5ロケットの実機模型を背にする川口氏

エンジンの故障をはじめ数多くのトラブルに見舞われながら、困難を乗り越えて地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でプロジェクトマネージャを務めた、元シニアフェローの川口淳一郎氏は、小惑星からサンプルを持ち帰る世界初の試みを成功に導いた。川口氏の「仕事人秘録」の最終回では、次世代の挑戦へ寄せる期待を語ります。

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小惑星探査機「はやぶさ」の経験を受け継いだ「はやぶさ2」は、小惑星「りゅうぐう」に金属の塊を撃ち込んで人工のクレーターを作る世界初の試みに成功。内部の岩やちりを採取し、地球に帰還した。

はやぶさ2は、はやぶさの着陸した小惑星「イトカワ」以上に難しい場所に着陸し、はやぶさではうまくいかなかったサンプル採取のための弾丸発射にも成功しました。はやぶさで問題になった場所の手当ができてちゃんと機能し、13年越しの宿題も果たしてくれました。

はやぶさ2の計画を提案したのは、はやぶさが行方不明になった2006年ごろです。実証機のはやぶさとの間隔は5年が理想的ですが、計画が認められるのは簡単ではありませんでした。当時の立川敬二・宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長に「打ち上げたかったら外国にロケットを出してもらえ」と言われて米航空宇宙局(NASA)や欧州と交渉しましたがうまくいきません。「同じことをなぜ2回やる」という反対もありました。

はやぶさのような実証機を作ってから本番の探査機をやると、成功の確率は格段にあがります。この方法だとNASAのように予算のケタが違う組織とも戦えます。新しい手段と技術があって、新たな科学的成果が得られます。初めから成果を求めると保守的になり、挑戦ができません。