世界経済フォーラム(WEF)によるジェンダーギャップ指数で、「政治」分野とともに日本の足を引っ張っているのが「経済」分野です。2022年の最新ランキングで、日本の順位は116位でしたが、経済分野では121位。管理職の女性比率が低いことに加え、男女間の賃金に格差が大きいことも課題とされています。「賃金格差の解消はあらゆる男女平等社会の土台」ともいわれる中、必要な取り組みとは? 経済学者で明治大学准教授の原ひろみさんに意見を聞きました。

■収入の高い層でも男女間賃金格差がある

編集部(以下、――) 世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数の「経済」分野は、5つの指標で評価されています。最も男女差が大きいのは「管理職の比率」ですが、賃金格差に関する2項目も低迷しており、世界に誇れる状況ではありません。2022年のランキングによれば、経済分野のスコアは0.564で、146カ国中121位。2021年はスコア0.604、順位は156カ国中117位でした。

明治大学 政治経済学部 准教授 原ひろみさん(以下、原) 日本のジェンダー平等の遅れは、残念ながら国際的にも有名です。労働市場には、就業形態(フルタイムかパートか)や昇進などさまざまな面でジェンダー格差が残っており、賃金もその一つです。男女間の賃金格差は世界的に問題視され研究が進んでいますが、日本に関してももっと研究が必要です。

―― 日本の女性の平均賃金が低いことについては、「非正規社員が多いから」「正社員でも介護や保育など女性の多い業界で賃金が低いから」など、雇用形態や業界の違いが原因だとする意見も聞かれます。

原 非正規社員に占める女性の割合が高いことも、平均賃金の男女差につながっています。その背景には、家庭での役割の大きさといった要因以外にも、配偶者控除、第3号被保険者といった、女性のフルタイムでの就労意欲を抑えてしまうような税・社会保障制度の影響もあると思います。またケア労働に就く女性の賃金が低いことは、日本も含めた世界的な課題です。

―― 一方で企業からは、「正社員の賃金テーブルに男女差はない。正社員同士なら賃金格差は存在しない」という声を聞くこともあります。

原 制度が平等でも、運用がうまくいっているかは別の問題として考える必要があるでしょう。実は、日本における男女間の賃金格差は、収入の低い層だけでなく、高い層でも見られます。